複利のちから~資産を効率的に増やすには~

複利のちから~資産を効率的に増やすには~

アインシュタインが「人類最大の発見」「宇宙で最強の力」と言った複利の力。

雪だるま方式に資産が増えていくこの複利効果を、できることならたくさん享受したいと思いませんか?

複利の力を効果的に得るためにできることを考えていきましょう!

この記事ではこんなことがわかります。

  • 複利の力
  • 時間が最大の武器になる
  • 気を付けるべきポイント

複利とは?

複利とは?

資産運用を行うと、配当金や金利による利息などの収益を得ることが出来ます。この利息の付き方には「単利」と「複利」の2種類があります。

  • 単利:元本に対してのみ利息が付くもので、毎年の利息および収益は一定です。
    計算式で表すと、元本×(1+利回り年利率×年数)

  • 複利:利息が元本に組み込まれるため「元本+利息」に対して利息が付き、徐々に利息および収益の額が増えていきます。
    計算式で表すと、元本×(1+利回り年利率)年数

単利はシンプルな掛け算ですが、複利は累乗計算です。

単利と複利の差

100万円を利回り5%で運用した時、単利と複利ではどのくらいの差が生じるでしょうか?

単利は元本に対してのみ利息が付くため、毎年の利息は5万円で一定です。

一方、複利はだんだんと増えていきます。1年後の利息は同じ5万円ですが、複利の場合2年後は105万(元本100万+利息5万円)に対して利息が付くため、5万2,500円の利息が付きます。

こちらは、20年間でシミュレーションをした際の「1年毎の利息だけ」に着目したグラフです。

利息の推移

利息を再投資する複利では、20年後には12.6万円もの利息が付くことになり、単利との差が2倍以上に開いています。

これを元本と合わせた資産合計額の推移で表すと次のようになります。

資産の推移

初めはあまり違いがありませんが、20年後には60万円以上もの差が生まれています。

このように資産形成のスピードを速められるのが、複利運用の大きなメリットです。

利回りと複利の関係性-72の法則

元本が同じ場合、利回りが高ければ利息も増え、複利効果も大きくなります。

複利での目標利回りを考える際、一つの目安として簡単に計算できる「72の法則」というものがあります。

現在の資産を2倍にするために必要な年数を、利回りから導く計算式です。(税金は考慮せず)

72÷利回り(%)=元本が22倍になる年数

72の法則

一番右の利回りは、2021年4月4日現在の日本のメガバンク銀行における普通預金の金利です。現在の普通預金の金利が、どれだけ低金利なのかがわかりますね。

ちなみにこの法則は、資産を2倍にするために必要な利回りを把握する時にも役立ちます。

(72÷年数=必要利回り)

5年で資産を2倍にするためには、72÷5=≒14.4%の利回りが必要なことになります。

5年で利回り約14%を目指すのは、簡単なことではありません。やはり、時間を武器にした運用を心がけることが大切となってくるのです。

複利効果を高めるポイント

複利効果を高めるポイント

どんどんと資産が増えていく複利の力。できる限りその力を発揮させたいですよね。

効率的に複利効果を得るためのポイントを見ていきましょう。

最大の武器は「時間」

利息が利息を生む複利の力は、5年よりも10年、10年よりも20年と、複利は長期になればなるほどその効果を発揮しています。つまり、長期間保有することが資産の増加につながっているのです。

もし先ほどの運用をさらに続けるとどうでしょうか?

50年間の資産推移

50年間の資産推移(表)

50年後の単利と複利の資産の差は3倍以上にもなります。複利運用では、当初の資産と比べると100万円から1147万円と10倍以上に増えています。

複利にとって「時間」が最大の武器であることは一目瞭然です。

時間は取り戻すことができません。時間を味方につけるには、投資を始めたいと思った時にすぐにアクションを起こすことが大切なのです。

元本が多いほど有利

複利運用では、元本が多ければ多いほどその分利息も増えていきます。つまり、複利効果を高めるためには、元本を増やすことや、元本を減らさないことも大きなポイントとなるのです。

1.長期・分散・積立投資

最初は少額でも、少しずつ投資額を増やしていき元本を増やすことで複利効果を高めることができます。

この効果を得やすい運用方法が「長期積立分散投資」です。

コツコツと長期間にわたって積立を続けることで、元本を増やすことはもちろん、ドルコスト平均法により平均取得単価を下げる効果もあります。また「長期分散積立投資」は、相場が値下がりしたときこそ力を発揮するため、元本を減らさないという観点でもとても有効な方法なのです。

2.分配金は再投資

投資信託における分配金はご褒美のように感じられ魅力的です。しかし複利効果を高める場合において、この分配金はデメリットにもなり得ます。なぜなら、分配金を受け取ることで基準価額が下がってしまう、つまり元本が減ってしまうためです。

投資信託の分配金は次のような仕組みになっています。

投資信託の分配金

運用が順調で基準価額が1,000円上がった場合、上昇分が収益となります。

分配金が無ければ収益の1,000円が元本に上乗せされ、さらなる運用益を期待できますが、分配金が支払われるとその額によっては収益がほとんどなくなってしまう可能性もあります。(税金は考慮せず)

また分配金は収益の範囲内とは限らず、運用が不振で基準価格が下がっていたり、分配金より収益が少なかったりした場合は、元本を削って特別分配金として支払われることもあります。そうすると購入時よりも基準価額が下がる=元本が減ってしまうことになり、複利効果を得られなくなるのです。

複利効果を高めるためには、分配金を受け取らず再投資するタイプの投資信託が有効です。

このタイプの投資信託は、証券会社によって異なりますが、「再投資型」「累積投資型」などと表記されています。

3.非課税制度の活用

分配金など、投資で得た利益には所得税が課せられ、その額は収益の約20%です。分配金の再投資を選択すると、税引後の分配金で購入できる口数だけを自動的に買い付けされます。つまり、残念ながら分配金の100%は上乗せできないのです。

しかし、その所得税が非課税になる制度が存在します。それがNISA制度やiDeCoです。

運用できる金額や期間に制限はありますが、非課税枠を活用することで通常よりも再投資できる金額が増え、複利の効果を高めることができます。

まだ制度を利用していないという方はぜひ検討してみて下さい。

ここもチェック!気を付けたいポイント

ここもチェック!気を付けたいポイント

さらに複利の効果を高めるために、気をつけたいポイントがあります。

手数料はなるべく抑える

投資信託は購入時だけでなく、保有している間も「信託報酬」と呼ばれる運用を任せている会社に支払う管理料がかかります。保有している財産額の何%と言った形で示されています。

この信託報酬は、投資信託の基準価額が毎日更新されるタイミングで、保有している資産から差し引かれています。つまり、毎日少しずつ基準価額が下がっているというわけです。

(運用益の方が大きいため、表面上は減っているように感じないことが多いです。)

毎日支払っているからこそ、複利効果を高めるためには、手数料はなるべく低いものを選んだ方がいいでしょう。

途中で安易に売却しない

投資信託や株などの金融商品は、売却によって得た収益(売却益)の約20%が所得税として差し引かれます。また、保有している投資信託によっては「信託財産留保額」や「解約手数料(税込)」がかかる場合があります。

そのため、手元に入ってくる金額は予想していた金額よりも少なくなっているのです。

もちろん、その売却益で購入できる商品に再投資出来ればいいのですが、毎回上手くいくとは限りません。売却する時はよく考えて「ここぞ!」というタイミングで行うのがよいでしょう。

まとめ

複利はスピード感をもって資産を増やしてくれる心強い味方です。その鍵を握るのは「時間」「元本」「金利」でした。 各証券会社や銀行、金融庁HPなどでは、さまざまな条件で資産運用のシミュレーションができるようになっています。それらを参考にしながら、複利の力を取り入れた資産運用をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

山口りな

山口りな

約6年半テレビ山梨でアナウンサーを勤め退職。退職をきっかけにお金に関わる制度を身近に感じたことでお金や経済の勉強はじめ、FP資格を取得。
フリーアナウンサーとして活動しながらFPとしても活動中。FPアナウンサーとしてお金にまつわる知識を届けている。

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