農家の節税対策とは?経費や確定申告、税制について解説

農家の節税対策とは?経費や確定申告、税制について解説

農家の節税対策は、確定申告における節税対策や、農家が利用できる税制支援などさまざまな方法があります。

この記事では、農家が行うことのできる以下の節税対策について解説します。

  • 確定申告における青色申告、経費計上
  • 農家が利用できる税制支援

すでに節税対策を行っている場合でも、経費や税制について改めて理解を深めることをおすすめしますので、ぜひ最後までお読みください。

農家の節税対策① 青色申告

青色申告

農家ができる節税対策1つ目は、青色申告をすることです。

青色申告による節税効果について、以下より解説します。

青色申告特別控除が受けられる

確定申告には白色申告と青色申告があり、控除額が異なります。

青色申告で確定申告をすると、最大で65万円の控除を受けられます。白色申告の場合は38万円、年収2,400万円

以下は48万円なので、白色より青色の方が控除額が増えて節税になります。

ただし、65万円の控除を受けるには、要件を満たしていることと、e-taxで申告することが条件です。要件については、国税庁のサイトをご参照ください。

参照:No.2072 青色申告特別控除

参照:e-Tax 又は電子帳簿保存を行うと65 万円の青色申告特別控除が受けられます

青色事業専従者への給与が経費にできる

青色申告の場合、届出をすることで専業専従者への給与を経費として計上でき、節税になります。

配偶者や家族と一緒に農業を営んでいる場合、基本的に家族(専業専従者)への給与は経費にできません。ただし、青色申告をしている場合は専業専従者への給与も経費にできるので、節税となります。

青色申告で専業専従者への給与で経費計上できる金額の上限は、「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載された金額です。

白色申告でも、手続きすれば専業専従者への給与を経費にできますが、金額が限られています。また、家族も農業を専業としている場合に限られます。白色申告で専業専従者への給与を経費にするための要件については、国税庁のサイトをご参照ください。

参照:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

所得拡大促進税制を利用できる

青色申告をすると、所得拡大促進税制を利用できる場合があります。

所得拡大促進税制とは、青色申告をしていて、従業員に支払う給与や教育費を前年度より増額した場合、増額分の15%または25%を控除率に上乗せできる制度です。

事業を開始した年度によっても控除できる金額が異なるので、詳細は中小企業庁のパンフレットをご確認ください。

参照:中小企業向け「賃上げ促進税制」※旧、中小企業向け「所得拡大促進税制」

農家の節税対策② 経費計上

経費計上

確定申告の際は、経費を正しく計上することも節税対策の1つです。経費が多いと課税総所得が減り、節税につながります。

事業を営む上で必要となった経費を今一度確認し、きちんと計上することが重要です。

経費になるものの例には、以下のようなものがあります。

経費になるものの例
  • 農地の取得、維持するための固定資産税、不動産所得税
  • 種苗費、肥料費、飼料費、農具費
  • 動力光熱費
  • 農薬衛生費
  • 荷造運賃手数料(農作物を販売するのにかかる費用)
  • 作業用医療費
  • 農業共済金
  • 雑費(農業関係の書籍代やセミナー、講習の費用)など

農家の節税対策③ 税制の活用

税制の活用

農家が利用できる税制について知り、活用することも節税対策の1つです。

節税につながる税制を活用できる以下のケースについて、1つずつ解説します。

  • 農地を取得する場合
  • 中小企業投資促進税制
  • 農家への税制支援

農地を取得する場合

農地を新たに取得する際、登録免許税と不動産取得税がかかります。登録免許税額は固定資産台帳に登録された資産価値の2%、不動産取得税額は固定資産台帳に登録された資産価値の4%です。

ですが、「農用地利用集積計画」を利用して農地を取得した場合は、登録免許税は1%に、不動産所得税は資産価値の1/3が控除されます。

参照:登録免許税及び不動産取得税の軽減

中小企業投資促進税制

農家が新品の機械や設備を購入した際、特別償却または税額控除を受けられる中小企業投資促進税制を利用できる場合があります。対象は、青色申告者である個人事業主や、資本金1億円以下の中小企業である農家です。

新品の機械や設備を購入した際、通常の減価償却に加え30%の特別償却か、取得金額の7%の税額控除を選択できます

農家が中小企業投資促進税制を利用する際は、以下の機械や設備が対象となります。

  • コンバイン、トラクターなどの機械(1基、1台あたり160万円以上のもの)
  • 測定工具や検査工具(1基、1台あたり120万円以上のもの)
  • ソフトウェア(70万円以上のもの)

参照:中小企業投資促進税制

農家への税制支援について知る

農家が利用できる税制支援について知り、活用することで節税につながる場合があります。

農家に対する税制支援には以下のようなものがあり、条件や経営状況によって支援を受けられる可能性があります。

  • 農業経営基盤強化準備金制度
  • 農業に使用する軽油引取税の免税
  • 農地を譲渡した場合の特別控除
  • 農業に対する事業税・事業所税の非課税 など

参照:農業者への税制支援(一覧表)

農林水産省の担当部署や税理士に問い合わせをして、活用できる税制について理解を深めておくことをおすすめします。

まとめ

農家が節税対策をする方法として、確定申告を青色申告で行うのがおすすめです。白色申告の場合よりも基礎控除額が増えたり、専業専従者への給与を経費計上できたりといったメリットがあります。

経費については、計上が漏れているものがないかどうか、今一度確認するのがおすすめです。

中小企業投資促進税制や各種税制支援などを利用して節税対策をする方法もありますので、担当部署や税理士に問い合わせてみることもよいでしょう。

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節税ハック編集部

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