保険を使った節税対策とその効果とは?トータル数千万円にもなる節税方法を解説

税金の額をできるだけ少なくしたい場合には、保険を利用することもできます。

保険には節税の効果があるので、上手に利用すれば納税額を効果的に減らすことも可能です。所得税や住民税のような毎年納めなければいけない税金だけでなく、相続税も保険により節税ができます。

ここでは、保険を利用して節税をしたい人のために、具体的な節税方法などを、詳しくご紹介します。

主な保険でできる節税対策とは

主な保険でできる節税対策とは

所得税

保険を利用すれば、所得税の節税をすることができます。

所得税とは所得に対して課せられる税金のことで、日本では個人の所得が課税の対象になっています。個人が獲得した各年ごとの収入で課税額が計算され、基本的に所得の多い人ほど多くの税金を納める必要があります。

ですが、所得が多い人でも節税を効果的におこなえば、納税額を減らすことは可能です。所得税を減税するために利用できるのは、各種の控除制度です。

その年の所得金額の合計額に税率を掛けて所得税は計算されますが、各種の控除制度を利用することで納税すべき所得税の金額を少なくすることが可能です。生命保険料控除や医療費控除などが節税に利用できます。ふるさと納税をして、寄付金控除を利用する節税方法もあります。

住民税

住民税も個人の所得に課せられる税金です。

所得税との大きな違いは、所得税が国税であるのに対し、住民税は地方税であることです。地方税には都道府県民税と市町村民税の2種類があり、住所がある市町村に一括して納税します。

納税された都道府県民税は、市町村から都道府県に払い込まれます。

住民税も所得税と同じように、控除制度を利用すれば効果的に節税ができます。住民税で利用できるのは、生命保険料控除や社会保険料控除などの控除制度です。

相続税

相続税とは、相続人が被相続人から遺産を相続した場合に課税される税金です。

親が亡くなった時に子供が親の遺産を相続する時などに、課税されています。相続税の課税対象となるのは相続をする遺産です。そのために、相続する遺産の額が多いほど、一般的には納税額も多くなります。

相続税の節税対策としておこなわれることが多いのは、親が亡くなる前に子供に遺産を贈与する方法です。ですがこの場合にも、贈与税が課税されます。親が亡くなった後に相続税の節税対策をすることも可能で、生命保険を利用すれば相続税を節税できます。

生命保険料控除の概要とは?

生命保険料控除の概要とは?

生命保険料控除っていったいなに?

生命保険料控除とは、所得税や住民税の計算で使用できる控除制度のことです。

控除をすることで、所得税や住民税の計算の基礎となる所得金額が減額するため、結果として納税額を減らすことが可能です。生命保険料控除は、一定の保険料を納税者が支払った場合に、その金額の一部が納税額から控除される制度です。

生命保険料だけでなく、介護医療保険料や個人年金保険料を支払った場合にも、生命保険料控除を適用できます。

生命保険料控除の計算方法について

生命保険料控除の計算方法は、保険の契約を締結した時期により異なります。

平成24年1月1日以降に契約した保険の場合、2万円以下のものについては、その全額が控除の対象になります。

生命保険料控除の対象

2万円超4万円以下の場合
支払った保険料などの額に2分の1を乗じた金額に、1万円を加算した金額

4万円超8万円以下の場合
支払った保険料などの額に4分の1を乗じた金額に、2万円を加算した金額

支払った保険料などが8万円を超える場合
4万円の金額が一律で控除される

平成23年12月31日以前に締結した保険契約などは、上記の方法と計算方法が全く異なります。
詳しくは国税庁のHPに記載があります。

所得税・住民税の節税例

所得税や住民税を生命保険料控除によりどれくらい節税できるかは、納税者の所得により異なります。

納税者の所得金額が400万円の場合、納税額は80万円になりますが、2万円の生命保険料を支払った場合、生命保険料の全額が所得から控除できるため、納税額は796,000円になります。この節税例では、4000円の節税が可能になりました。

節税シミュレーション

所得税や住民税の計算をするためには、課税の対象となる所得金額の合計額をまず計算します。

所得金額の合計額が904万円の男性の場合、所得に適用される税率は33パーセントです。

そのため、控除制度を一切使用しないと、納税すべき税額は2,983,200円になります。

ですが、8万1千円の保険料を支払った場合には、4万円の生命保険料控除が利用できるので、課税所得金額は900万円となります。

900万円の課税所得に適用される税率は23パーセントなので、納税額は2,070,000円となり、90万円以上納税額を節税できます。住民税も同様に、生命保険料控除を利用することで、効果的に節税ができます。

生命保険は相続税対策にもなる

相続税対策になる生命保険って?

生命保険に加入していれば相続税を節税できる

生命保険は相続税対策として使用することもできます。生命保険に加入していれば節税ができるのは、相続税には、課税の対象とならない遺産があるからです。

生命保険も非課税の対象になる場合があり、相続人の数によって決まる非課税限度額が、受け取った生命保険の金額よりも多い場合、生命保険は全額非課税となります。法定相続人1人につき500万円が非課税限度額です。

相続税の計算方法

相続税の税額を計算するためには、まず課税遺産の総額を調べて計算する必要があります。相続した遺産の総額から、基礎控除や非課税資産などを控除した額が課税遺産です。

課税資産=遺産総額-基礎控除額-非課税資産額

基礎控除の額は、3000万円に法定相続人1人につき600万円を加算した金額です。基礎控除額を総資産額から引いたものが非課税資産額になります。

基礎控除額=3000万円 +(法定相続人数 × 600万円)
非課税資産額=総資産額-基礎控除額

法定相続分の割合で按分して、超過累進税率を掛けたものの合計が相続税の合計になります。

各相続人の法定相続分割合での相続税 =法定割合分の相続額 × 超過累進税率*
相続税の総額=各相続人の法定相続分割合での相続税合計

*金額による税率は以下サイトを参考ください

なお、配偶者は法定相続分もしくは1億6000万円以下の相続であれば相続税はかかりません。

各人ごとの相続税額は、

相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額

で求めることができます。

相続税対策のシミュレーション

■シミュレーション条件
相続財産:現金1億3800万円と生命保険金1500万円
法定相続人:子ども3人
相続は法定相続分通り

まずは生命保険の相続税について計算していきます。


生命保険金の非課税限度額は、 法定相続人1人につき500万円となるので、

500万円 × 3=1500万円

という計算となり、そのため、生命保険金の全額が非課税になります。

残りの現金 1億3800万円 を3人の子供が均等に相続した場合、基礎控除の合計額は 基礎控除額=3000万円 +(法定相続人数 × 600万円) が適用され

3000万円+(600万円 × 3)=4800万円

となります。

基礎控除を控除すると、課税資産額は9000万円(1億3800万円-4800万円)となり、子供1人につき3000万円の遺産を相続します。3000万円の場合 超過累進税率は15%の税率が適用され、計算すると1人当たり法定相続分の相続税は450万円の納税額になります。

3000万円 × 15%=450万円(法定相続分通りの相続額に対する税金)

合計額は1350万円になり、これを実際の相続額(このシミュレーションでは法定相続分通り)で按分(相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額)すると、一人当たりの相続額の額は450万円になります。

1350万円 × 3000万円 ÷ 9000万円=450万円(各相続人の税額)

保険を使った節税効果は絶大!数千万円得することも

所得税や住民税は、保険を利用すれば節税ができます。

特に活用しやすいのは所得税です。所得税は所得の金額によって税率が大きく変わるため、生命保険料控除の制度を利用すれば、所得金額の適用される税率を少なくすることも可能です。

相続税も保険により節税ができる税金で、一定の条件に当てはまる生命保険は非課税になります。税金をできるだけ節税したい人は、ぜひ保険を活用してみてください。

節税ハック編集部

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