投資事業有限責任組合について知りたい!メリットやリスクについてわかりやすく解説

投資事業有限責任組合について知りたい!メリットやリスクについてわかりやすく解説

投資事業有限責任組合という制度を知っていますか?

個人投資家や機関投資家、トレーダーなど、投資事業を行っている人以外はあまり詳しく知らないかもしれません。

そこでこの記事では、投資事業有限責任組合についてわかりやすく解説します。
「投資事業有限責任組合を利用するメリットやリスクについて知りたい」という人も是非参考にしてください。

投資事業有限責任組合についてわかりやすく解説!

投資事業有限責任組合についてわかりやすく解説!

投資事業有限責任組合とは、わかりやすくいうと投資者を募った組合のことです。

具体的には、任意で募った投資者(組合員)が、投資額の範囲内で責務を担う非法人組織のことをいいます。

個人投資家、投資法人銀行、証券会社、官民ファンドなど投資事業を行うものであれば、個人・法人を問わず参加することが可能です。

投資事業有限責任組合制度について


投資事業有限責任組合制度は2004年に制定されました。

LPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)に基づいて組成された制度であるため、「LPS」と称されることもあります。

投資事業有限責任組合の設立の背景

投資事業有限責任組合が設立したのは、投資事業組合の変革が求められたことが背景にあります。

投資事業有限責任組合が設立される前は、1980年代から1990年ごろに広がった民法上の組合が主流となっていました。しかし、民法上の組合を活用するにあたり問題点が発生していたために、投資事業組合の今後について議論が重ねられるようになったのです。

投資事業有限責任組合の目的

投資事業有限責任組合の目的は、先述した民法上の組合が持つ問題点を解決することでした。

民法上の組合は組合員が無制限で責任を担う仕組みであったため、ベンチャー企業に対して資金をスムーズに供給できないなど、資金供給を必要とする企業に対して十分な出資金を集められないという問題点を抱えていました。

問題点を解決するために制定したのが、資額に割合に応じて組合員の責任を有限にする「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」です。

その後、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律をベースとして投資事業有限責任組合が設立されました。

役員や出資者の役割や責任、利益分配の仕組み

投資事業有限責任組合の役員や出資者の主な役割は、事業者から金銭債権を取得すること、新たに貸し付けを行うことです。

その他には、事業者に対して資金を円滑に供給すること、株式や新株予約権、金銭債権などを保有する事業者に対して経営指導を行うことも役割として挙げられます。役員や出資者は、取得した金銭債権を適切に保有する責任を課せられます。

投資事業有限責任組合では、基本的に利益分配の際に源泉徴収は行われず、また事業者ごとに利益分配の割合は異なります

投資事業有限責任組合5つのメリット

投資事業有限責任組合5つのメリット

投資事業有限責任組合を利用すると、リスク分散が行いやすい、税制上の優遇措置がある、運営が簡単であるなどのメリットがあります。

リスク分散が行いやすい

投資事業有限責任組合を利用すると、リスク分散が行いやすいというメリットがあります。

投資事業有限責任組合は、組合員の出資金だけではなく、借入金も原資としています。そのため、資金調達が滞る確率が低くなり、結果的に様々なリスクを回避できるシステムとなっているのです。

税制上の優遇措置がある

税制上の優遇措置があることも、投資事業有限責任組合を利用するメリットです。投資事業有限責任組合は非営利法人であるために、法人税が課せられません。

そのため、税金が課せられるのは、組合員が利益を分配された時のみとなります。

つまり、投資事業有限責任組合を利用すると課税は1回きりとなるのです。ちなみに、一般的な投資では、2回税金を納める必要があります。

具体的には、税金を差し引いた状態で利益を分配し、取得した利益からさらに税金を納めるというシステムです。

運営が簡単である

投資事業有限責任組合を利用するメリットには、運営が簡単であることも挙げられます。

具体的には、法律に定められた内容を満たしていれば契約書の内容を自由に設定できる、登記時の手続きが簡単など、運営面で様々なメリットがあります。

また、先述したように税制面での優遇措置が適用されるので、法人税に関する事務的作業も必要ありません

運営会社の専門性を活用できる

運営会社の専門性を活用できるという点も、投資事業有限責任組合を利用するメリットといえるでしょう。

元々投資に関する事業を行っていれば、専門性を生かして事業を行うことができます。

例えば、投資事業有限責任組合を運営するためには「金融商品取引法」の「第二種金融商品取引業」に登録する必要がありますが、すでに投資運用業などを営んでいればこれらの登録は不要です。

投資先企業の選定が容易である

投資先企業の選定が容易であることも、投資事業有限責任組合を利用するメリットです。

投資事業有限責任組合は、投資先企業を募る際に中小企業連携促進ファンド募集などを実施することが多いので、比較的スムーズに企業を選定することができます。

投資事業有限責任組合のリスク

投資事業有限責任組合のリスク

投資事業有限責任組合のリスクには、税制面および出資金の損失が生じる可能性があるなどのリスクを考慮する必要があります。

出資金の損失が生じる可能性がある

投資事業有限責任組合は、出資金に損失が生じる可能性があるというリスクをはらんでいます。

企業を選ぶ際には審査がありますが、利益をもたらす企業であるか否かまでは判断できません。そのため、利益が出ない、もしくは損失を生じる可能性もあるのです。

税制上の3つのリスク

投資事業有限責任組合は、税制面でもリスクをはらんでいます。

税務上のミスによる税金の滞納や追徴課税のリスク

投資事業有限責任組合は、法人税は免除されますが、地方税や印紙税、消費税などは課税されます。

つまり、全ての税金が免除されるわけではないので、税金の支払いミスなどの税務上のミスが生じやすいのです。

個人投資家にとっては納税義務の増加リスク

個人投資家の場合は、納税義務が増加するリスクもあります。

投資の種類によっては課税対象となる、または確定申告が必要となるので、個人投資家の場合は注意が必要です。

改正や税務当局の見解変更により、不利益を受けるリスク

投資事業有限責任組合に関する法令は、年度ごとに見直しされるため今後も同様に継続されるか否かはわかりません。

また、税務当局の見解が変わる可能性もあるので、将来的には不利益を受けるリスクもあるのです。

制度やメリット、リスクを知った上で投資事業有限責任組合を運営しよう

投資事業有限責任組合を運営するためには、事前にどのような制度であるか、どのような背景・目的で設立されたのか、役員や出資者はどのような役割や責任を担っているのかを知っておきましょう。

さらに、法人税が必要ないなどのメリットや、将来的に法改正される可能性があるなどのリスクも考慮した上で運営を決めることが大切です。

節税ハック編集部

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