インボイス制度の対象者は?その影響や制度の詳しい内容を解説

インボイス制度の対象者は?その影響や制度の詳しい内容を解説

インボイス制度は、所定の要件を満たした請求書や納品書を発行・保管することにより、仕入税額控除の優遇を受けられる制度です。これまでになかった制度ということもあり、どのような事業者が対象となり、どんな影響があるのか理解できないという人も少なくありません。

そこでこちらでは、インボイス制度の影響を受ける対象者や変化の内容について見ていきます。

この記事ではこんなことがわかります。

  • インボイス制度の影響を受ける対象者
  • インボイス制度の詳しい内容
  • 免税事業者に考えられるメリット

フリーランスの方必見!インボイス制度の影響を受ける対象者とは

フリーランスの方必見!インボイス制度の影響を受ける対象者とは

インボイス制度の対象となるのは消費税の課税事業者で、免税事業者はインボイス制度を利用できる適格請求書発行事業者として登録することができません。

しかし、制度の対象外であっても、免税事業者となっている個人事業主やフリーランス、法人にも影響が生じるため、注意が必要です。

免税事業者と課税事業者の違い

免税事業者とは、消費税の確定申告と納税が免除されている事業者で、課税事業者は消費税の申告及び納税が義務付けられている事業者です。ただし、免税事業者となる要件を満たしていても、課税事業者になる選択はできます。

免税事業者の要件を満たす個人事業主・法人が影響を受ける

免税事業者の要件は、前々年の課税売上高が1,000万円以下の事業者であること、特定期間の課税売上高、もしくはその間に支払った給与等が1,000万円以下であることです。

本来、消費税の申告や納付義務が生じない免税事業者は消費税の控除を受けられるインボイス制度とは無関係に思われがちですが、影響もデメリットも生じます。

次の段落で、なぜ免税事業者がインボイス制度の影響を受けるのかについてご説明していきます。

インボイス制度によって何が変わる?ポイントをわかりやすく解説

インボイス制度によって何が変わる?ポイントをわかりやすく解説

インボイス制度は、2023年10月1日から導入される「適格請求書等保存方式」とも呼ばれる制度のことです。

適格請求書発行事業者として登録されている課税事業者が、複数の消費税率について所定の要件を満たした適格請求書を発行することで仕入税額控除が受けられます。

「仕入税額控除」がインボイス制度を理解するポイント

課税事業者の立場からすれば、インボイス制度が導入されてからは課税事業者と取引をした方が節税対策になります。

例えば、売上時に預かった消費税が1万円、仕入時に払った消費税が8,000円の場合を見てみましょう。このケースで課税事業者が課税事業者に依頼した場合、仕入税額控除が受けられるため、課税事業者が税務署に納める消費税は1万円-8,000円=2,000円となります。

一方、課税事業者が免税事業者に依頼した場合、仕入税額控除がないため、税務署に納める消費税は売上時に預かった1万円です。仕入額が大きければその分控除額も大きくなるため、インボイス制度の準備は急務と言えるでしょう。

「適格請求書」は原則免税事業者は発行できない

仕入税額控除を受けるには、適格請求書を発行しなければなりません。しかし、現行制度で必要だった区分記載請求書が誰でも発行できたのに対し、インボイス制度における適格請求書は登録済みの課税事業者しか発行できません。

従って、課税事業者は速やかに登録の必要がありますし、免税事業者がインボイス制度を利用するならば課税事業者を選ぶことになります。

課税事業者は取引相手に課税事業者を選んだほうが得になる

免税事業者の場合、取引先から預かった消費税の納税義務がないため、預かった消費税は益税としてその事業者の利益になります。

しかし、インボイス制度の導入により、課税事業者は課税事業者を取引先に選んだほうが仕入税額控除の対象となるため、免税事業者が選ばれにくくなります。免税事業者としては、益税による利益と取引先の確保による利益を考慮して課税事業者になるか選択しなければなりません。

免税事業者に考えられるデメリット

免税事業者に考えられるデメリット

免税事業者は、そのまま免税事業者として事業をしても、課税事業者になってもデメリットが発生します。

課税事業者の取引相手に選ばれにくくなる

主な取引先が課税事業者の場合、インボイス制度が導入されれば仕入税額控除が利用できない免税事業者は取引相手に選ばれにくく、取引が減る可能性があります。

ただし、主な取引相手が免税事業者や一般消費者の場合には、これまでと同じ取り扱いになるので影響はほとんどありません。取引先の内容によってインボイス制度を利用すべきか検討しましょう。

取引を減らさないためには自身も課税対象者になる必要が生じる

インボイス制度の導入で取引先が減少する場合には、自身も課税事業者になる必要が生じます。その場合は取引件数に大きな影響は生じませんが、これまで免除されてきた消費税を払わなければなりません。

その結果、益税として得ていた手取りの収入が減ることになります。インボイス制度や簡易課税制度を利用して、節税できないか調べてみましょう。

早めの状況確認と準備が必要

このように、インボイス制度は結果的に免税事業者に大きな影響を与えかねない制度です。導入は2023年からですが、実施にあたっては経過措置期間を設けており、実施後6年間は一定割合の仕入税額控除を認めています。

その間に免税事業者は状況を見て、免税事業者のままでいるのか、課税事業者に変更するのか判断する必要があります。

節税ハック編集部

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