個人事業主も加入できて節税になる経営セーフティ共済とは?

個人事業主も加入できて節税になる経営セーフティ共済とは?

個人事業主や中小企業は、取引先が売掛金を残して倒産した場合に受ける被害が大きく、連鎖倒産をする恐れがあります。

そんなリスクを軽減するために設けられている経営セーフティ共済をご存じでしょうか?

こちらでは、経営セーフティ共済の概要や個人事業主が加入したときのメリット、利用する際のポイントについて解説していきます。

経営セーフティ共済とは

経営セーフティ共済とは

経営セーフティ共済は個人事業主も加入できる便利な制度ですが、その仕組みを理解していなければ加入するかしないかの判断はできません。

以下に、経営セーフティ共済の概要について見ていきましょう。

経営セーフティ共済の概要

経営セーフティ共済は中小企業倒産防止共済制度とも言い、取引先の事業者が倒産して資金繰りが悪化したときに、自身が連鎖倒産や経営難に陥ることがないように支援を受けられる制度です。

具体的には、取引先の倒産で売掛債権等が回収困難になった場合、担保や保証人なしで掛金総額の10倍(最高8,000万円)まで即時借り入れができます。


掛金は月額5,000~20万円の範囲内で任意に決めることができ、増額や減額も可能です。

掛金は必要経費として算入できるほか、1年以上掛金を納めていれば、解約したときに掛金総額の80%~全額受け取ることができます。

借り入れ可能な取引先の倒産は、破産などの法的整理のほかに、取引停止処分や私的整理、災害による不渡りや天災の支払不能など多岐に渡っています。ただし、夜逃げの場合は倒産とは認められません。

個人事業主も加入が可能

経営セーフティ共済には、中小企業だけでなく個人事業主も加入が可能です。

ただし、中小企業、個人事業主共に開業後1年未満は加入できませんので、注意しましょう

個人事業主にとっての経営セーフティ共済の節税メリット

個人事業主にとっての経営セーフティ共済の節税メリット

個人事業主が経営セーフティ共済に加入した場合、大きな節税メリットが得られます。

以下に、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

メリット1 経費の節減による税金負担の軽減

経営セーフティ共済の掛金は、全額必要経費として算入することが可能です。

掛金は5,000円刻みで月額20万円まで任意に設定できるほか、翌年度分を一括払いすることもできます。

途中で掛金の額を変更できますので、大きな利益が出て税金が高額になる見込みがあれば、掛金を増やすという方法もあります。

メリット2 保険料控除による税金負担の軽減

個人事業主の節税対策として知られる小規模企業共済やiDeCoは、所得から保険料控除を差し引きすることで所得税等の節税に繋がります。

しかし、健康保険料のように税金の種類によっては保険料控除が適用されないものもあります。

経営セーフティ共済の掛金は経費として所得自体を減額していますので、様々な種類の節税に役立つところも大きなメリットです。

メリット3 個人事業主特別控除による税金負担の軽減

個人事業主は、条件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。

しかし、個人事業税の計算をする場合にはこの控除は使えません。経営セーフティ共済は保険料と同様に、経費として全額算入できるため、事業税の負担軽減にも役立ちます

個人事業主が経営セーフティ共済を利用する際のポイント

個人事業主が経営セーフティ共済を利用する際のポイント

実際に加入する前に、きちんとメリットが得られるのか、自分に合った内容なのかを確認しましょう。

加入資格や保険金額などの条件を把握する

経営セーフティ共済には、1年以上の経営実績や事業規模など加入条件があります

また、掛金も経営が成り立つ金額を設定しなければなりません。まずは条件をしっかり把握しましょう。

経営セーフティ共済加入前に各社の比較をしよう

個人事業主が加入できる共済は、小規模共済のように他にもあります。
それぞれの特徴を理解して、自分に合ったところを選びましょう。

経営セーフティ共済加入後

加入後は、収支に応じて臨機応変な対応が必要です。

適切な保険料の支払いを続ける

利益が大きいときは掛金を増やして節税を、少ないときは掛金を減らして資金ショートを防ぐなど、適切な金額を支払いましょう。

解約手当金が受け取れる

解約手当金は、1年以上掛金を支払い続けている場合のみ請求できます。

任意解約の場合

加入から2年未満であれば掛金の80%、2年半未満で85%、3年未満で90%、39ヶ月未満で95%、40カ月以上継続加入していれば全額受け取ることが可能です。

経営セーフティ共済を活用した節税対策

節税対策についても見ていきましょう。

経費計上による節税効果

掛金を経費計上する場合、当該年度分を毎月納めていれば最大240万円の経費になりますが、翌年分を一括払いした共済料はその年の所得金額から控除されますので、さらに節税効果が高くなります。

この場合、最大2年分480万円が経費算入できます。

所得税の還付を受けるための手続き

所得税の還付を受けるためには、確定申告をして還付を受ける預金口座を記入しておく必要があります。

加えて、経営セーフティ共済の掛金を経費として計上するためには、確定申告書に必要事項を記入した「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を添付しなければなりません。

毎年必要なものですので、忘れずに準備しましょう。

経営セーフティ共済を活用して上手に節税を

このように、経営セーフティ共済は幅広い税金に対して、利益の変動についても柔軟に節税ができるという大きなメリットがあります。

もちろん、内容の確認や掛金の変更などの対策も必要ですが、その価値は十分あるでしょう。

ただし、経費として計上するためにしっかりとした手順を踏まなければなりません。
実際に 経営セーフティ共済 へ加入する前に、きちんとメリットが得られるのか、自分に合った内容なのかをあらかじめ確認しましょう。

節税ハック編集部

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