有形商材を取り扱う事業を行う場合、大半のビジネスモデルは商品の仕入れを行い、在庫を抱え、注文を受けてから発注を行う流れになっています。
在庫を抱えたままの状態だと、仕入れの原価を回収することができないため、財務的には火の車になっていきます。
企業であっても、個人事業主であっても、在庫を有するビジネスは常に売れ残りのリスクを抱えることになり、販売促進の力が必要となります。
そこで、リスクを最小限にできるビジネスモデルで独立や副業を考えている方に、本記事で「在庫不要のビジネス」の種類や特徴について紹介していきます。
- 在庫不要ビジネスの種類と特徴
- 在庫不要ビジネスを行う上で必要な投資
- 在庫不要ビジネスの2つの事例
目次
在庫不要ビジネスの概要

在庫不要ビジネスとは、その名の通り、在庫を抱えずに商売を行うビジネス形態のことです。
ただし、在庫不要といっても、商売を行うために有形資産が必要である場合は資産を抱えることになります。また、実現したい事業規模・達成したい売上高などに応じて、初期投資の金額も変わってきます。
在庫不要ビジネスの中には、はじめやすいものと、ある程度の知識が求められるものがあるので、ご自身のバックグラウンドや適性、リスク許容度、投下できる資本金などを参考に、数ある在庫不要ビジネスの中から最適なものを選ぶとよいでしょう。
在庫不要ビジネスは、選択するビジネスモデルにもよりますが、一旦軌道に乗り始めると、リスクを負うことなく収益を増やすことができるビジネスでしょう。
主な在庫不要ビジネスの種類とメリット・デメリット

以下では、具体的なビジネスの内容、それぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。
ネットビジネス
ネットビジネスは、インターネットを利用して行うビジネス全てが対象です。近年ではネットビジネスの種類もどんどん増え、幅広い形態が生まれています。
以下はネットビジネスの一例です。
- 広告収入
- ライター収入
- ネットショップ収入
- 情報販売
メリット
ネットビジネスのメリットは、初期投資がほとんどないこと、時間と場所に縛られないこと、失敗しても損失が少ないことです。
ネットビジネスはほとんどの場合、初期投資が必要でないため(必要でも少額)、失敗しても損失は少なく、また比較的自由に取り組むことができます。つまり、在庫不要ビジネスに興味を持つ初心者が最も始めやすいビジネスであると思われます。
デメリット
反対に、ネットビジネスのデメリットは、成果が低いとモチベーションが維持できないなどの理由から、継続が難しく収入がなかなか安定しないことです。
講師業(先生業)
近年、注目を集めている在庫不要ビジネスです。
講師業は自分のスキルや経験を活かして人に教えることで、多くの人を助けることができるビジネスです。
講師業には様々な種類がありますが、自分が持っているものでそれを必要としている特定の人物に対し、コーチングやコンサルティングの形態でサービスを提供し、相手のニーズを満たすことを目的にしています。
マンツーマンで行われる形もあれば、セミナーのように対マスで行われる形もあり、人に何かを教えることが講師業のビジネスモデルのベースになります。
以下は、講師業の一例です。
- コーチング
- コンサルティング
- セミナー講師
メリット
講師業のメリットは、自分が持っているものを活かせること、一つのサービス提供から得られる単価が大きいこと、コンテンツ化して繰り返し利用しやすいことです。
自分に売れるような価値を確信していて、サービスを提供するターゲット層へのリーチが比較的容易、販売する自分のスキルや経験を体系化できる人には、実現の可能性が高いと思われます。
デメリット
講師業のデメリットは、集客から契約に繋がる確率が低いこと、相手のニーズが満たされたかの判断が主観的になりやすいことです。
資産活用ビジネス
資産を活用するビジネスも、一種の在庫不要ビジネスといえます。
資産活用ビジネスは、個人が保有する土地、建物、設備、機械などを利用して利用者からサービス料を回収し、より多くの人に利用してもらうことで収益を上げていくビジネスです。
ただし、上記で紹介したネットビジネスや講師業と違って、場合によっては設備投資が必要になるので初期投資が大きくなる可能性もあります。
以下は、資産活用ビジネスの一例です。
- コインランドリー経営
- コインパーキング経営
- シェアリングビジネス
メリット
資産活用ビジネスのメリットは、不労所得になる可能性があること、時間当たりの利用回数を増やせること、リピーターを獲得しやすいことです。
資産を利用した収益は費用があまりかかっていないので、利益率が高く、収入の主軸になる可能性を秘めています。さらに、より多くの人に何度も利用してもらうことで資産の有効活用につながり、収益も大きくなります。
デメリット
資産活用のデメリットは、初期投資が大きくなる可能性があること、定期的なメンテナンスが必要であることです。
在庫不要ビジネスのイメージを掴もう

在庫不要ビジネスは比較的リスクを少なく始められるビジネスですが、始める前にビジネスのイメージを掴んでおくことが大切です。
ここではコインランドリー事業を例にとり、どのようにイメージしたら良いかを説明していきます。
ファミリー層が集まる住宅街に中規模の土地を保有しており、コインランドリーの建設を予定している。
洗濯機6台と乾燥機7台の機器代、設備内装工事と基礎工事にかかる費用。
洗濯機や乾燥機は、大きさや容量等により価格に幅があります。今回は洗濯機代を125万円、乾燥機代を90万円、設備内装工事代を1,000万円、基礎工事代を500万円と仮定して計算してみましょう。
125万円×6台+90万円×7台+1,000万円+500万円=2,880万円 が初期費用となります。
無人経営で洗剤などの消耗品を全く用意しない場合、ひと月に発生する費用は、水道光熱費や固定資産税などの維持費となります。
売上を100万円、水道光熱費等の維持費を25万円とすると、
100万円-25万円=75万円 がひと月の収入になります。
月毎のキャッシュフローに変動がないと仮定すると、初期費用の回収期間は
2,880万円÷75万円 ≒ 39ヶ月 となります。
よって、この事例の場合、コインランドリー経営を開始してから3年半〜4年で初期投資を上回る利益をあげることができるようになります。
在庫ビジネスを始める前に注意すべきこと

リスクが低くても成功するかはわからない
多くの方が関心を持つ問題の一つに、どれだけのお金と時間を投資すれば、望む収益を得ることができるのか、というトピックがあると思います。
あらゆる投資、起業、資産運用に当てはまることですが、正確な回収期間を計算することは難しいと言われています。
なぜなら、外部環境(流行や市場の流れなど)や本人の経験値の差、サポート環境の有無、本気度などによって達成する時期が変わってくるからです。
大まかな見積もりを立て成功への道筋を立てることは大切ですが、どれだけ計算してリスクを低くしても成功するとは限りません。
しかし、投資はすべきでないということではありません。むしろ、正しい知識とスキルを身につけ、その都度計画を見直して修正すれば在庫不要ビジネスも投資の対象としては悪くないものになります。
怪しいビジネスに気を付ける
在庫不要ビジネスに投資をするにあたって、正しい知識とスキルを身につける必要があることに上記で言及しましたが、最も気をつけたい点があります。
それは、怪しいビジネスを見極めるということです。
世の中には、在庫不要ビジネスと謳いながら、実は在庫が必要なビジネスで違う項目を装って高額の料金を請求される、あるいは紹介された事業が実は法的にアウトで行政処分を受けるなど、気軽に始めてから悲惨な末路を辿ってしまうケースもゼロではありません。
完全に個人でビジネスを行い、管理を行う場合は自己責任となりあまり問題ではありませんが、在庫不要ビジネスを斡旋・仲介する会社を利用して行う場合は、特に注意が必要です。
自分の経験やスキルを活かせるものから始める
最後に、どのような在庫不要ビジネスを選ぶのかという点についてですが、得意なこと、興味関心を寄せるもの、蓄積してきた経験は人それぞれ違うので、その違いを活かせるビジネスに参入することが最も良い方法です。
その人が持つ貴重な資産を最大限に活かすことがどのようなビジネスにおいても重要ですから、まずはご自身が既に持っているスキルや経験、資格などを振り返り、可能性があるものを徹底的に洗い出します。
個人の属性や得意なことを活かすことは、在庫不要ビジネスを今後継続的に行っていく上でも重要です。継続することが収益につながる一番の近道ですから、ビジネスをより好きなものにできるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
本記事では、在庫不要ビジネスの概要やどのような種類があるかそれぞれのビジネスのメリット・デメリットについて触れてきました。
在庫不要ビジネスの在庫を抱えるビジネスよりリスクが低く始めやすいと言われていますが、注意すべきポイントもあります。
ぜひこの記事を参考に在庫不要ビジネスについて学び、リスクや注意点を知ったうえでご自分が得意で好きな分野で挑戦してみてはいかがでしょうか。