駐車場経営を法人化するには?メリット・デメリット、節税効果を解説

駐車場経営を法人化するには?メリット・デメリット、節税効果を解説

個人で駐車場を経営していて、「法人化したほうがメリットがあるのでは?」と考えている方もいるのではないでしょうか。

駐車場経営を法人化した場合、節税や相続の面でメリットを受けられる場合もあります。ただし、節税効果を得られるのは収入額にもよります。また、法人の維持コストがかかるというデメリットもあるので注意が必要です。

この記事では、駐車場経営の法人化について、メリット・デメリット、手続き方法などについて解説します。

駐車場経営は法人化できる?

駐車場経営は法人化できる?

駐車場経営をしている場合、法人を設立して駐車場経営をすることが可能です。代表取締役や役員を設定し、契約の締結や収支は法人として行います。

個人で駐車場経営をしている場合は収入に応じて個人所得税が増えるので、駐車場経営を法人化して法人税にしたほうが節税効果が期待できる可能性があります。

駐車場経営を法人化する手続き

駐車場経営の法人化は、以下の手順で行います。

1. 法人の設立手続きをする

株式会社か合同会社を選び、法人を設立します。会社の定款作成、登記申請、口座開設などを行います。

2. 引き継ぎ、名義変更をする

不動産会社や駐車場経営の運営会社に連絡し、契約の引き継ぎを行います。

3. 法人として駐車場経営を行う

法人設立の手続きが完了したら、法人として駐車場経営を行います。

駐車場経営を法人化するメリット

駐車場経営を法人化するメリット

駐車場経営の法人化には、節税や相続に関するメリットを得られる場合があります。法人化における以下のメリットについて、1つずつ解説します。

  • 節税効果が期待できる
  • 経費にできるものが増える
  • 相続の際に資産を分割できる

節税効果が期待できる

駐車場経営を法人化するメリット1つ目は、節税効果が期待できるという点です。

個人事業主が駐車場経営によって収入を得た場合、収入が増えるほど所得税や住民税が高くなります。課税所得の金額によっては法人税の方が税率が低くなるため、法人の方が節税できる場合があります。

また、相続人を役員に任命し、役員報酬を支払う形で資産を移転して相続税対策をすることも可能です。退職金制度が利用できるので、給与収入よりも低い税率で役員が収入を得ることもできます。

経費にできるものが増える

メリット2つ目は、個人の時よりも法人のほうが経費計上できるものが増えるという点です。

法人の場合は、親族や家族への給与・退職金が損金として計上できます。福利厚生や出張を経費計上したり、役員の社宅として賃貸の家賃を経費計上できるので、個人事業主の場合よりも経費にできるものが増え、節税対策になります。

相続の際に資産を分割できる

3つ目のメリットは、相続の際に資産を分割できるという点です。

土地をそのまま相続すると、その時の評価額によっては多額の相続税がかかります。また、土地のままでは分割することができないので、売却して現金に変えるか分筆登記を行う必要があります。

法人(株式会社)にすれば株式での譲渡になるので、相続人に分割しやすくなるという点がメリットです。

駐車場経営を法人化するデメリット

駐車場経営を法人化するデメリット

駐車場経営の法人化には、法人設立や維持のためにコスト・手間がかかるというデメリットがあります。法人化のデメリットについて、1つずつ解説します。

  • 法人設立や維持にコスト・手間がかかる
  • 役員の改選が必要になる
  • 事務作業が煩雑になる

法人設立や維持にコスト・手間がかかる

駐車場経営を法人化するデメリット1つ目は、法人設立や維持のためにコストや手間がかかるという点です。

法人を設立する際、司法書士に手続きを依頼するのに費用がかかります。司法報酬、登録免許税、定款認証費用などで30万円ほどかかるのが一般的です。また、税務署への書類提出もあり、作成や準備に手間がかかります。

法人を維持するために顧問税理士に依頼した場合は、依頼顧問料や決算申告費用を支払う必要があり、通常、合計で年間70万円ほどかかります。

節税効果だけでなく設立や維持のための費用も考慮して、法人化を検討することが重要です。

役員の改選が必要になる

デメリット2つ目は、法人の役員が任期満了した際に改選が必要になるという点です。

役員には任期があるので、任期が満了したら役員変更の手続きが必要となります。再任した場合も役員登記が必要となり、手続きの手間と司法書士への依頼費用が発生します。

登記には、変更登記申請書や株主総会議事録などが必要となり、書類を作成する手間も発生するので注意が必要です。

事務作業が煩雑になる

3つ目のデメリットは、法人の場合は個人よりも事務処理や経理処理が煩雑になるという点です。

法人の場合は個人事業主の時よりも仕訳や会計が複雑で、小口現金や借入金などの処理が必要となり、事務作業が煩雑になる点を考慮して法人化を検討することをおすすめします。

駐車場経営は法人化に適さない場合が多い

駐車場経営の法人化は節税面で効果がありますが、収入によっては節税効果は薄くなります。法人税の実効税率は30%程度とされており、個人の税率がそれを上回らないと節税効果は期待できません。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
引用:国税庁 No.2260 所得税の税率

上記のように、課税所得が900万円以下だと法人税の方が高くなるので、節税効果は期待できません。

また、法人税の維持や設立にコストや手間がかかるというデメリットもあるため、駐車場経営法人化によるメリットは薄いと言えます。ただし、税率が33%になる900万円以上の課税所得があるなら、法人化したほうが節税効果は期待できます。

節税面だけでなく、法人の設立・維持コスト、事務作業コストなどを総合的に考慮して法人化の判断をすることが重要です。

まとめ:土地の有効利用にコインランドリー経営もおすすめ

個人で行っている駐車場経営を法人化した場合、節税や相続の面でメリットを受けられる場合があります。

ただし、収入額によっては節税効果は薄くなるほか、法人の設立や維持のためにコストがかかるので注意が必要です。節税面だけでなく、維持コストも考慮して法人化を検討することをおすすめします。

土地の有効利用には、コインランドリーの経営もおすすめです。コインランドリー経営のメリットや人気のフランチャイズについて、以下の記事で詳細に解説していますのでぜひご参照ください。

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節税ハック編集部

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