個人投資家の法人化は年収いくらから?資産管理会社設立の節税効果を解説

個人投資家の法人化は年収いくらから?資産管理会社設立の節税効果を解説

個人の投資家で利益を上げている場合、法人化して資産管理会社を設立することでメリットを得られる場合があります。しかし、法人化でメリットを得られるかどうかは年収によって異なるので、注意が必要です。

この記事では、個人投資家が法人化する年収の目安や、法人化によるメリット・デメリットについて解説します。

法人設立を検討している投資家の方は、ぜひ参考にしてみてください。

投資家が法人化する年収の目安は?

投資家が法人化する年収の目安は?

投資家が法人化し、資産管理会社を設立する年収の目安は、結論から言うと課税所得が700万円を超えたら法人化の検討を始めることをおすすめします。

法人化をおすすめする理由は、所得税と法人税の税率の違いです。

法人の場合、事業所得800万円以下は15%、800万円を超えた部分は23.2%になります。法人住民税や法人事業税などを入れれば、30%程度なのが一般的です。

個人の場合は、695万円〜899万9千円までは税率23%、900万円からは33%と課税所得額に応じて上がっていき、4,000万円以上だと約45%所得税がかかります。(参照:所得税の税率)さらに住民税が約10%加わるので、最大で55%の税金を支払うことになり、法人税よりも高い税率で所得税を支払うことになります。

課税所得が700万円を超えたら、法人化の検討を始めるのがおすすめです。

投資家が法人化するメリット

投資家が法人化するメリット

投資家の法人化は、節税面でメリットを得られる場合があります。投資家が法人化する以下のメリットについて解説します。

  • 節税対策になる
  • 経費計上できる範囲が広がる
  • 赤字を最大9年繰り越すことができる

節税対策になる

投資家が法人化するメリット1つ目は、課税所得の金額によっては法人税が所得税を下回るので、法人化することで節税効果が期待できるという点です。

ただし、法人の場合は法人住民税、法人事業税などもかかります。法人税と所得税だけでなく、総合的に見た場合に個人事業主よりも税率が安くなると判断できたら法人化を検討するのがおすすめです。

経費計上できる範囲が広がる

法人化のメリット2つ目は、法人になると、個人事業主の時よりも経費計上できる範囲が広くなるという点です。法人の場合は利益を出すためにかかった費用は全て経費として計上できるほか、強制加入である社会保険の保険料を経費として計上できます。

また、契約者と受取人をどちらも会社にして生命保険に入った場合は、保険料を経費にできる場合があります。

赤字を最大9年繰り越すことができる

メリット3つ目は、法人の場合赤字を最大で9年繰り越すことができるという点です。

個人投資家で青色申告をしている場合、赤字の繰越を3年まで行うことができます。法人の場合は最大で9年間赤字を繰り越すことができ、赤字を節税対策として使うことが可能です。

投資家が法人化するデメリット

投資家が法人化するメリット

投資家の法人化を検討する際は、デメリットについても把握し慎重に検討することをおすすめします。

投資家が法人化する以下のデメリットについて解説します。

  • 法人設立のための費用がかかる
  • 決算申告をする必要がある
  • 法人の維持のために費用がかかる

法人設立のための費用がかかる

法人化のデメリット1つ目は、法人を設立する際に設立のための手続きや費用がかかるという点です。

定款の認証手数料謄本手数料、収入印紙代、登録免許税、出資金などさまざまな費用が発生します。また、登記申請に必要な書類の準備や行政への届出など、個人事業主の開業届を出す場合よりも手続きに手間がかかるので注意が必要です。

決算申告をする必要がある

デメリット2つ目は、決算申告のための経理処理が必要になるという点です。

法人の場合は決算申告をする必要があり、貸借対照表や損益計算書などを用意します。個人事業主の時よりも経理が複雑なので、対応が難しい場合は税理士に依頼する必要があり、依頼費用が発生します。

法人の維持のために費用がかかる

3つ目のデメリットは、法人を維持するためにさまざまな費用が必要になるという点です。

法人の場合は決算申告が必要なので、税理士に代行を依頼、または顧問契約をする必要があり、目安として年間50万円程度の費用がかかります。

また、赤字であっても毎年7万円の住民税を支払う必要があるので、利益が出ていなくても法人の維持のために費用がかかるという点がデメリットです。

資産管理会社を設立する手順

資産管理会社の設立は、以下の手順で行います。

1. 会社の基本情報を決める(社名、本店所在地、決算月、出資金など)

2. 設立に必要なものを用意し、定款の認証を受ける

(定款書類、印鑑、印鑑証明書など)

3. 出資金の払込をする

4. 登記申請の必要書類を用意し、行政機関に届け出る

まとめ

個人投資家が法人を設立する場合は、課税所得が900万円以上あると節税効果を得られる可能性があります。年収が700万円を超えている場合は、法人化を検討してみることをおすすめします。

ただし、法人化によって設立・維持のための手間や費用がかかるので注意が必要です。節税面だけでなく、維持コストも考慮して法人化を検討することをおすすめします。

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節税ハック編集部

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