30~40代の独身者がアーリーリタイヤ(FIRE)を目指すなら、いくら必要?

Fire

アメリカの若い世代を中心に一部でブームが広がっている「FIRE」。

若い頃から株式投資などに取り組み、経済的自立を手に入れて早期退職して人生を楽しもうというムーブメントです。働くことに疲れた、職場での人間関係やストレスから解放されたい!と思う気持ちは誰しもが持っているのではないでしょうか。

今回は、30~40代の独身者がFIREを目指すにはいくら資産が必要なのか、利回りは何%必要になるかについて説明します。

この記事ではこんなことがわかります。

  • FIREを実現するために目安となる金額
  • 利回りはいくら必要か
  • FIREを目指すために必要なこと

FIREとは

FIREとは

FIREとは「Financial Independence and Early Retirement」の頭文字をとった造語で、経済的に独立し早期退職することを表します。

FIREムーブメントともよばれ、ミレニアル世代とよばれる2000年以降に成人した、現在20代後半~30代後半の若者の一部を中心に支持されています。

価値観が多様化し長く働き続けることに疑問をもった人たちが、年齢が若いうちにたくさん稼いで、その収入の大部分を貯蓄したり資産運用で資産形成をしたりして経済的自立を手に入れる。早期退職し若いうちに自由な時間を持って生きていく人生を目指しています。

FIREを実現するには

定年まで働くことが一般的だとされてきた日本でも、終身雇用制度の崩壊、雇用環境の悪化や働いていることで生じるストレスなどで、働かなくても暮らしていけるようになりたいと潜在的に願う人も多いのではないでしょうか。

では、FIREを実現するためには、どのくらいの資産が必要となるのでしょうか。

まずは必要な金額を試算してみよう

総務省が出している家計調査報告(家計収支編)2019年(令和元年)平均結果の概要によると、単身世帯の消費支出の月平均額は163,781円です。この金額には食費や住居費、光熱費など生活する上でかかってくる項目のほか、旅行などの娯楽費も含まれています。

この金額は全国平均なので、住居費の高い首都圏ではもう少し金額が多くなります。先ほどの総務省のデータでは単身者の住居費が20,854円となっていますが、首都圏、とくに東京23区内に住んでいれば家賃は月7~8万円程度かかるのではないでしょうか。

東京23区内に住む独身者(単身世帯)の生活費としては、家計調査での住居費に実勢家賃との差額5万円を足し、約21万円になります。

生活費として毎月21万円程度かかる想定で計算すると、単身世帯での年金受給開始までの生活費は以下の式で算出できます。

21万円×12ヶ月×年金受給開始年までの年月=必要生活費

2021年1月時点での年金受給年齢は65歳からなので、現在30歳独身者が65歳までの35年間で必要とする生活費は以下になります。

18万円×12ヶ月×35年=8,820万円

年金受給開始までの生活費が分かったことで、FIREを実現するために必要な資産額の目安も確認できました。

ただし、定年前に早期退職すると厚生年金から外れて国民年金のみになるため、65歳以降にもらう年金額も少なくなる点は注意が必要です。また、月21万円の生活費は住む場所や希望するライフスタイルにもよりますが、けしてゆとりがある金額とはいえません。

「4%ルール」は実現可能?

アメリカではFIREを実現するための前提となる考え方として「4%ルール」があります。これは、投資元本として年間生活費の25倍を用意し、その元本を年間4%の利回りで運用すれば元本を減らすことなく生活ができるという考え方です。

たとえば、先ほど計算した30歳独身者の場合、年間の生活費は252万円になります。その25倍である6,300万円を用意し、それを4%で運用すれば元本を減らさず得られる運用益の範囲内で生活できるという想定になります。

6,300万円の4%は252万円なので、年間の支出をその範囲内に収めれば生活することはできそうです。しかし、実際に20~30代で6,300万円もの大金を貯め、それを毎年最低4%で運用し続けることが可能なのでしょうか。

計算上は可能かもしれません。しかし、現実問題として投資元本を貯めること、年間4%の利回りを維持していくことは容易ではないでしょう。65歳までの長い期間の間には、運用がうまくいかず4%の利回りを確保できない年もでてくることが予想されます。

その時に精神的に耐えられるかが、FIREを成功させる鍵かもしれません。

生活資金のために元本を取り崩したり、挽回しようとしたりしてハイリスクな投資行動をとると、一歩間違えばアーリーリタイヤ後にもお金の不安がつきまとうことになりかねません。FIREを実現するための資金計画は厳しめに想定した方が良さそうです。

FIREを目指すために今からできること

FIREを目指すために今からできること

FIREを実現するための必要な資産額がわかったことで、次に実際その金額を貯めていくにはどうしたらよいのかを考えてみましょう。

投資元本を増やす

何より大事なことは、まず投資元本を目標額まで増やすこと。それには、以下のことを行うことが必要です。

  • 支出の把握
  • 支出に優先順位をつけ、最適化する
  • 収入を増やす
  • 運用して増やす

これらを組み合わせて継続することで、投資元本を増やしていくことが可能になります。なかでも取り掛かりやすいのが支出の把握と、優先順位をつけて不要な支出を減らすことです。すぐに見直ししやすい水道光熱費、食費、交際費の他、削減効果が高い住居費や通信費がまず対象になります。

FIREを目指す人の一部には収入の7~8割を貯める強者もいるそうですが、寮住まいではない、会社からの家賃補助がないという一人暮らしの方は難しいかもしれません。

無理のない範囲でなるべく投資元本を増やしていく割合を高めることが、持続可能につながりますね。

運用して増やす

いくら支出を最適化したり収入を増やしたりしても、マイナス金利下の日本では定期預金に現金を入れているだけではお金はほぼ増えません。そのため、預金だけでなく投資元本を貯めながら資産運用して増やしていくという手法も検討しましょう。

資産運用というと、株式の信用取引や、値動きが大きい仮想通貨(暗号資産)などで一気にお金を増やそう!と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このような投資手法で成功している人はごく一部です。リスクが大きく、短期売買が中心になるため、元本を増やそうと思って逆に減らしてしったり、信用取引の場合は負債を抱えてしまったりすることもありえます。

短期間で大きくリスクを取って増やすのではなく、投資信託の積立投資や高配当株式に10年以上の長期で運用する手法の方が、とるリスクも先ほどの例に比べ小さくなります。

長期の積立投資をシミュレーションしてみよう

譲渡益税を引いた後の年換算利回りが4%で運用できた場合、投資元本の目標額6,300万円に到達するには、毎月いくら積立投資をして、何年で達成できるのでしょうか。

金融庁の資産運用シミュレーションを使い、以下の前提条件でシミュレーションをしてみましょう。

<前提条件>

投資商品:投資信託

目標金額:6,300万円

想定年換算利回り:4%

積立期間:20年

出典:金融庁HP 投資の基礎知識 資産運用シミュレーション

シミュレーション結果をみると、毎月の積立金額は「171,768円」になります。

毎月の投資額としてはなかなか大きい金額ですね。しかも、目標金額を達成するのにこの積立額でも20年かかります。仮に30歳から積立を開始したとしても目標額達成は50歳の時なので、FIREを実現するには早いとはいえない年齢です。

このシミュレーションでは収入のうちの大部分を運用に回している想定なので、現金で貯めておく分を考えると実際に運用に回せる金額はこれより少なくなります。そのため、運用期間もさらに長く必要になります。

あくまでもシミュレーションの結果ですが、運用しながら投資元本を増やしてもFIREを実現するには思った以上にお金と時間がかかることがわかります。

まとめ

FIREを実現することで得られる仕事に関するストレスの軽減や、自由に時間や住む場所を決められる生活は魅力的ですし、お金より何よりも自由が欲しい!と思う方には夢のような生活かもしれません。

反面、FIREを実現ために必要な資金額や利回りは、支出を抑えて収入を増やし、かつ運用もして増やす努力をして初めて達成できそうなレベルの高さで、現実は甘くないようです。

念願かなってFIREを実現したとして、完全に仕事を辞めるとなると社会との断絶感や時間やお金の使い方が難しく感じる場面も増えるのではないでしょうか。

社会との繋がりや必要とされていると感じられることは何も仕事を通じてだけではなく、ボランティアや地域活動でも感じることは可能です。しかし、お金という対価をもらって人や社会の役に立てるという感覚は無償行為とはまた異なるものでもあります。

FIREといっても、完全にリタイヤして仕事をしないケースだけでなく、フルタイムではない週2~3日のパートなどで生活費の半分程度を稼ぎつつ社会との繋がりを保つ方法をとっている方もいます。

無理にリタイヤせずに、ゆるく社会と繋がりながらFIRE後のお金の不安も減らせる方法もあるので、ご自身にあったFIRE生活を目指してみてはいかがでしょうか。

田端沙織

田端沙織

鎌倉市出身、逗子市在住。2男1女を育児中。
大学を卒業後、FP2級を取得した際、資産運用の楽しさに開眼し証券会社に勤務。
10年以上お客様にまごころ込めて対応していたが、会社とお客様の向いている方向が違う事にモヤモヤを感じる。
現在は、お客様と自分が同じ方向を向くことでお金や将来の不安が少しでも減るよう、中立的な立場のFPとして活動中。
また、「キッズ・マネー・ステーション認定講師」として子供、親子向け金融教育講座を開催している。

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