オープンイノベーション促進税制とは?仕組みやメリット、手続きをわかりやすく解説

スタートアップ企業が資金調達をする際、ぜひ利用したいのがオープンイノベーション促進税制です。

オープンイノベーション促進税制とは、出資する側が控除を受けられる制度で、節税効果が期待できる制度です。投資に対して節税のメリットが生じるので投資のハードルが下がり、スタートアップ企業にとっては出資を受けやすくなるというメリットがあります。

この記事では、オープンイノベーション促進税制について、メリットや要件、手続き方法を解説します。

オープンイノベーション促進税制とは

オープンイノベーション促進税制とは

オープンイノベーション促進税制とは、国内の事業会社や投資部門、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)がスタートアップ企業に投資した際に、所得控除を受けられる制度です。

出資先のスタートアップ企業の新規発行株式を取得した場合、オープンイノベーション促進税制の利用で取得価格の25%が控除されます。控除上限額は、出資先企業1社あたり25億円以下、出資先1社・1年度あたり125万円以下となっています。

控除の対象となる出資額の下限は、大企業が1億円、中小企業1,000万円、海外企業が5億円です。

オープンイノベーション促進税制は、出資を受ける企業にとっては出資によって成長を促進できるメリットがあります。出資企業にとっては控除によって節税対策になるほか、出資先企業の技術やノウハウを取り入れられるため、自社の事業促進につながるという点も注目されています。

オープンイノベーション促進税制を利用するメリット

オープンイノベーション促進税制を利用すると、出資する側と出資を受ける側双方にメリットがあります。オープンイノベーション促進税制を利用するメリットについて、以下より解説します。

【出資する側】自社の事業促進につながる

オープンイノベーション促進税制は、対象法人(出資する企業)にとっては自社の事業促進につながるという点がメリットです。

スタートアップに出資することで出資先企業の技術やノウハウを取り入れられ、自社の製品開発や事業促進に活かせる場合があります。また、技術革新やビジネスモデルの改良により、さらなる利益を生み出せる可能性も期待できます。

オープンイノベーション促進税制を利用して出資を行う場合は、自社の事業や業界に関連性の高いスタートアップを出資先に選ぶのがポイントです。

【出資する側】節税対策になる

対象法人にとっては、オープンイノベーション促進税制を利用することで節税になる場合があるという点がメリットになります。

オープンイノベーション促進税制では、出資額の25%の控除を受けることができます。法人税率が23.2%であれば、その25%である5.8%の法人税を節税することが可能です。

内部留保金を出資にまわすことで、内部留保課税を節税するのにも役立ちます

【出資を受ける側】成長を促進できる

出資を受ける側にとっては、オープンイノベーション促進税制によって出資のハードルが下がるため、出資を受けやすくなり、自社事業の成長促進につなげられる。

オープンイノベーション税制では資金以外の協力をするよう定められているので、資金だけでなく出資側の設備やサプライチェーンを利用することもでき、事業を成長させやすくなる点も魅力といえます。

オープンイノベーション促進税制の要件

オープンイノベーション促進税制の要件

オープンイノベーション促進税制を利用する際は、対象法人(出資側)や出資を受けるスタートアップについて、さまざまな要件が定められています。

オープンイノベーション促進税制の要件について解説します。

対象法人(出資側)の要件

対象法人(出資側)には、以下の要件が定められています。

① 青色申告書提出法人であること
② スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目指していること
③ 以下のいずれかの法人形態であること
株式会社
相互会社
中小企業等協同組合
農林中央金庫
信用金庫及び信用金庫連合会

また、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の場合は、以下の要件が定められています。

上の対象法人が出資割合の過半数を有する以下の組合
④投資事業有限責任組合(LPS)のうち
a. 対象法人の国内完全子会社が無限責任組合員(GP)であるもの
b. 対象法人が単独の有限責任組合員(LP)であるもの
⑤民法上の組合

引用:オープンイノベーション促進税制申請ガイドライン(B)

出資先の要件

オープンイノベーション促進税制で出資を受けるスタートアップ企業については、以下の要件が定められています。

① 株式会社
② 設立10年未満(要件を満たす場合設立15年未満)
③ 未上場・未登録
④ 既に事業を開始している
⑤ 対象法人とのオープンイノベーションを行っている又は行う予定
⑥ 一つの法人グループが株式の過半数を有していない
⑦ 法人以外の者(LPS、民法上の組合、個人等)が3分の1超の株式を有している
⑧ 風俗営業又は性風俗関連特殊営業を営む会社でない
⑨ 暴力団員等が役員又は事業活動を支配する会社でない

引用:オープンイノベーション促進税制申請ガイドライン(B)

オープンイノベーション促進税制の手続き方法

オープンイノベーション促進税制の手続き方法

対象法人(出資側)がオープンイノベーション促進税制の適用を受けるためには、以下の手順で出資と申請を行います。

オープンイノベーション促進税制の手続き手順
  1. 経済産業省への事前相談
  2. スタートアップ企業への出資
  3. 経済産業省への事前相談
  4. 経済産業大臣への証明書交付申請
  5. 経済産業大臣による証明書の交付
  6. 税務申告

引用:オープンイノベーション促進税制申請ガイドライン(B)

出資を受ける側は、手続きは不要です。

出資先として選んでもらうために、イベントに出展する、人脈を活用する、マッチングプラットフォームなどを活用して自社の事業や将来性をアピールします。

まとめ

オープンイノベーション促進税制を活用することで、出資する側と出資を受ける側両方にメリットが生じ、ビジネス推進の活性化が期待できます。

出資する側と出資を受ける側両方に要件が定められていますが、要件をクリアしている場合はオープンイノベーション促進税制の利用を検討してみることをおすすめします。

節税ハック編集部

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