同性カップルの税金対策と注意点を解説

自分に配偶者がいる場合、配偶者控除や生命保険の控除で節税対策をすることが可能です。ただし、同性パートナーの場合、法的な配偶者とはならないので配偶者控除を受けることができません。

この記事では、同性パートナーに控除や特例が適用されるかどうか、また節税対策を行うにはどうすればよいかについて解説します。

同性パートナーが受けられない控除・特例

同性パートナーが受けられない控除・特例

同性パートナーが受けられない、以下の控除・特例について解説します。

  • 配偶者控除
  • 小規模宅地等の特例
  • 生命保険の控除

配偶者控除

同性パートナーが受けられない控除の1つに、配偶者控除があります。配偶者控除とは、所得金額やその他の条件を満たす場合に、納税者に一定金額の所得控除が認められる制度です。

同棲パートナーの場合は法的な配偶者ではないので、この配偶者控除が受けられません。

相続税についても同様です。法律上の配偶者の場合は、配偶者が相続した財産のうち、課税対象となる財産が1億6千万円までは相続税がかかりません。また、1億6千万円を超えた場合でも法定相続分までなら課税されません。

同性パートナーの場合は法的な配偶者ではないので、相続税や所得控除に関する配偶者控除が受けられないという点に注意が必要です。

小規模宅地等の特例

同性パートナーが受けられない特例に、小規模宅地等の特例があります。

小規模宅地等の特例とは、被相続人から配偶者が土地を相続した場合、要件にあてはまれば相続税評価額を最大80%まで減額できるという制度です。ただし同性パートナーは法的な配偶者ではないので、この特例は適用されません。

生命保険の控除

同性パートナーは、生命保険の控除も受けることができません。

納税者(夫)の妻が生命保険に加入している場合、年末調整で妻名義の生命保険の保険料を控除に含めることが可能です。ただし、同性パートナーは法的な配偶者ではないので、控除の対象外となります。

被相続人が死亡し、死亡保険金を相続した場合の相続税も、法的な配偶者と同性パートナーとで異なります

法定相続人の場合は、「500万円×法定相続人数」が保険金額から控除されます。ただし同性パートナーの場合この控除が受けられないので、相続税が多く発生する可能性があります。

また、在職中に死亡した場合支払われる死亡退職金も、法定相続人の場合は「500万円×法定相続人数」が控除されますが、同性パートナーの場合は控除を受けられません。

同性パートナーに適用される相続税

同性パートナーに適用される相続税

同性パートナーがいる場合、パートナーが死去した際の遺産の相続税についても注意が必要です。同性のパートナーが故人の財産を遺贈または死因贈与した場合、贈与税ではなく相続税がかかります。

遺贈とは、遺言書に記された相続のことです。死因贈与とは、死後に財産を渡すという契約を、生前に双方の合意のもと行うことを指します。

同性のパートナーは相続人ではありませんが、贈与税ではなく相続税がかかるという点に留意しておく必要があります。

相続税の対象となる遺産の総額

相続税は、遺産の総額が基礎控除額を上回る場合に発生します。

基礎控除額は、以下の計算式で求めることができます。

「3,000万円×(600万円×法定相続人の数)」

法定相続人が0人の場合でも、基本的に3,000万円が控除されます。故人の財産が3,000万円以下であれば、相続税はかかりません。

法定相続人の数は戸籍謄本で調べられるので、生前に確認しておくのがおすすめです。

同性パートナーは相続税2割加算の対象

相続人が被相続人の1親等(子、親)でないかぎり、相続税が2割加算されます。同性パートナーの場合も同様に、相続税の2割加算の対象です。

生前贈与で相続税対策が可能

同性パートナーの相続税の負担を減らすために、生前贈与を行っておくという方法があります。

生前贈与をすることで相続税を軽減できますが、贈与税がかかるという点に注意が必要です。ただし、年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税は発生しません。また、亡くなる3年以内に贈与した分は相続財産に含まれるので、相続税が発生します。

贈与税の負担を軽減しながら生前贈与を行いたい場合は、早めに、かつ年間110万円以下の範囲内で贈与を行うのがおすすめです。

同性パートナーとの養子縁組による税金対策

同性パートナーとの養子縁組による税金対策

同性パートナーがいる場合の税金対策として、養子縁組するという方法があります。

同性パートナーとの養子縁組によって、同性パートナーが法定相続人となるので相続税の節税効果が期待できます。基礎控除額は「3,000万円×(600万円×法定相続人の数)」の式で決まるので、法定相続人が増えれば基礎控除額も増え、相続税が低くなる可能性があります。

ただし、同性パートナーがいることや養子縁組をしたことを知らなかった親族との間で、トラブルになる可能性があるという点に注意が必要です。また、被相続人の死亡の直後に養子縁組をすると、相続税対策だとみなされ否認される可能性があります

まとめ

同性パートナーの場合、法的な配偶者ではないので、配偶者が受けられる控除や特例を受けることができません。また、パートナーから遺産を遺贈または死因贈与した場合、贈与税ではなく相続税がかかります。

同性カップルの相続税の節税対策として、養子縁組をするという方法がありますが、親族の理解を得られなかった場合トラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

節税ハックでは、さまざまな節税方法について解説していますので、他のコラムもあわせてご参照ください。

節税ハック編集部

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