会社法では、企業は何人に対しても利益供与をしてはならないと定められています。
親会社から子会社への親会社から子会社への寄付金は、損金として算入できません。価格改定、設備の無償供与も同様、寄付金とみなされ損金算入できない場合があります。
また、親会社から子会社へ利益供与を行うと、懲役または罰金の刑事責任が発生します。
この記事では、子会社に対する寄付金とみなされる利益供与について解説します。
目次
子会社に利益供与を行うことはできない

利益供与とは、企業が個人や法人に対して、金銭や権利、設備などの利益を供与することを指します。
会社法において、企業は何人に対しても利益供与をしてはならないと定められており、子会社に対しても同様に適用されます。子会社に対し寄付金を供与した場合、寄付金の内容によっては損金への算入が認められない場合があるので注意が必要です。
親会社から子会社に対し利益供与を行った場合は、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金の刑事責任が発生します。
利益供与の種類

子会社への利益供与とみなされる、以下の行為・寄付内容について解説します。
- 寄付金
- 価格設定、価格改定
- 設備の無償供与
- 出張費用の負担
寄付金
経営不振に陥っていない子会社への寄付金は、損金として算入することができません。
価格設定、価格改定
子会社が経営不振に陥っている場合、支援として価格改定を行うと寄付金とみなされる場合があります。子会社に対する価格改定をする場合は、ビジネス上妥当な価格だということを説明する必要があります。
設備の無償供与
子会社への設備の無償供与も、利益供与だとみなされる可能性があります。設備の無償供与とは、子会社や関連会社の工場、拠点立ち上げの際に、親会社の設備を無償で提供することです。
出張費用の負担
親会社から子会社への出張に生じた費用は、子会社側に利益が生じる出張であれば子会社が負担します。
親会社が出張費を負担すると、寄付金とみなされます。
子会社への支援は経営状況によって寄付金とみなされる

子会社が経営不振に陥っていない場合の利益供与は寄付金とみなされますが、子会社が経営不振に陥っている場合は、条件に合致する場合は寄付金として取り扱わないとされています。
子会社の経営状況と寄付金との関連性について解説します。
子会社が経営不振に陥っていない場合
子会社が経営不振に陥っていない場合の利益供与については、緊急性がないため寄付金としてみなされます。
経営危機とは、債務超過の状態であったり資金繰りが逼迫したりしている場合などです。ただし、債務超過の状態であっても、子会社が自力で再建することが可能だと判断できる場合は、利益供与は経済合理性がないとみなされます。
子会社が経営不振に陥っている場合
経営不振に陥っている子会社への支援は、以下の要件を満たす場合は寄付金として取り扱わないとされています。
- 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるとき
- 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるとき
引用:国税庁
このほか、「整理や再建の管理がされているか」「支援者の範囲は妥当か(特定の債権者が加わっていないか)」などの条件を満たしていると、寄付金には該当しないとされる場合があります。
まとめ
会社法では企業は何人に対しても利益供与を行ってはならないとされており、親会社から子会社に利益供与を行った場合は刑事責任に問われる可能性があります。
ただし、子会社が経営不振に陥っている場合の寄付金は、条件に合致する場合は寄附金として取り扱わないとされています。
利益供与には設備の無償供与や出張費の負担も含まれるので、利益供与にあたる行為について事前に把握しておくことが重要です。
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