認定NPO法人に寄付した場合の税制優遇

認定NPO法人に寄付した場合の税制優遇

法人が一般寄附金を支出した場合は寄付金を損金に算入できたり、個人の場合は所得税が還付されたりするなど、税制上のメリットがあります。

認定NPO法人や特例認定NPO法人に寄付をした場合は、さらに税制優遇を受けることが可能です。

この記事では、法人や個人が認定NPO法人、特例認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇について解説します。

法人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇

法人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇

法人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇は、寄付金を一般損金として経費に算入できることです。

法人が認定NPO法人や特例認定NPO法人に寄付をした場合、一般の寄付金損金算入限度額とは別枠で、特別損金算入限度額が設けられます。

一般寄附金の場合よりも高い割合で損金算入が可能です。

認定・特例認定NPO法人に対する寄附金に係る損金算入限度額

資本がある法人:(期末資本金の額×0.375%+所得金額×6.25%)×1/2
資本がない法人:所得金額×6.25%

一般の寄附金に係る損金算入限度額

資本がある法人:(期末資本金の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4
資本がない法人: 所得金額×1.25%

※所得金額=所得金額(当期純利益に税務調整をした額)+寄附金の支出額
引用:法人が認定・特例認定NPO法人に寄附した場合

経費として計上できる損金の額が大きくなるので、節税効果が期待できます。

個人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇

個人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇

個人が認定NPO法人や特例認定NPO法人に寄付をすると、確定申告で所得税の控除と個人住民税の控除を受けられます

所得税の控除を受ける場合は、確定申告で寄付金控除(所得控除)または税額控除どちらかを選択する必要があります。

個人が受けられる税制優遇について、以下より解説します。

所得控除

個人が認定NPO法人に寄付した場合は、その年の寄付金の合計額から2,000円を引いた額を、寄付金控除額として所得金額から控除できます。

計算式

認定NPO法人への寄付金の合計金額−2,000円=寄付金控除額

ただし、寄付金の合計金額は所得の総合計の40%が上限です。

税額控除

その年の寄付金合計から2,000円を引いた額の40%相当額を、その年の所得税額から控除することも可能です。

計算式

(認定NPO法人への寄付金の合計額−2,000円)×40%=税額控除額

ただし、所得控除の場合と同様に、寄付金の合計額は所得の総合計の40%が上限です。

また、認定NPO法人以外への寄付金がある場合は、所得控除額は所得税額の25%が上限となります。
参照:公益法人制度とNPO法人制度の税制上の優遇措置の比較について

個人住民税の控除

認定NPO法人への寄付金のうち、各自治体が条例で指定する寄付金や福祉の増進に関係する寄付金の場合、寄付金額を個人住民税の控除に使うことができます

税額控除額の計算式は以下の通りです。

計算式

(寄付金の合計額−2,000円)×10%=税額控除額

ただし、寄付金の合計額は総所得金額の30%相当が上限です。

また、自治体によって税額控除額に計算できる率が異なります。

税額控除額に計算できる率
  • 都道府県が指定する寄付金の場合:4%
  • 市区町村が指定する寄付金の場合:6%
  • 都道府県、市区町村両方が指定する寄付金の場合:10%

個人住民税の控除の対象となる寄付金については、各自治体で確認が必要です。

現物資産を寄付した場合の非課税措置

個人が土地や建物、株式などの現物を寄付した場合は「みなし譲渡所得税」が課税されます。

ただし、認定NPO法人、特例認定NPO法人に現物資産寄付をした場合は、要件を満たしていればみなし譲渡所得税が非課税となります。

参照:現物寄附のみなし譲渡所得税等の非課税特例の拡充

相続人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇

相続人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇

故人から財産を相続した人が、認定NPO法人に寄付した場合も税制優遇が受けられる場合があります。

相続財産を使って認定NPO法人の特定非営利活動に係る事業に寄付した場合、寄付をした財産の価格が相続税の課税対象から外れ、相続税の節税になります。

ただし、対象となるのは認定NPO法人への寄付のみで、特例認定NPO法人への寄付は該当しません。

認定NPO法人が寄付をした場合(みなし寄付金制度)

NPO認定法人自身にも税制優遇措置があります。

認定NPO法人の収益事業に属する資産から、該当の収益事業以外の事業、かつ特定非営利活動に係る事業に支出した場合、支出金額を寄付金とみなして損金として算入できます。これにより、収益事業を行う際の法人税を節税することが可能です。

利益の50%か200万円のどちらか多い方を上限として損金算入できます。

ただし、認定NPO法人のみの税制優遇措置であり、特例認定NPO法人も対象となります。

まとめ

企業が認定NPO法人に寄付をした場合、寄付金を損金として算入することが可能です。また、個人が寄付をした場合は所得控除や個人住民税の控除が受けられ、節税効果が期待できます。

認定NPO法人への寄付を考えている場合は、ぜひこの記事を参考に、節税対策も同時に行ってみてください。

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節税ハック編集部

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