ニッチな投資手法!話題のコンテナファーム投資とは?

ニッチな投資手法!話題のコンテナファーム投資とは?

私たちの経済・社会活動は地球の自然資源に大きく依存しています。気候変動、生物多様性の減少、水ストレス問題など、ここ数年で自然資源の供給に危機が迫っているという事実は、以前にも増して注目されています。

生活必需品は沢山ありますが、その中でも生きていくために不可欠なのが食料です。

日本で手に入る食料の多くは海外から輸入されていたり、国内産でも消費される場所から遠い場所で生産されていたりします。そのため必ずしも新鮮な食べ物が手に入るとは限りません。

そのような現状の中、農産物を都市近郊で生産し、消費者に新鮮な農産物を提供する一つの方法として、コンテナファームを利用して農業を行う個人や事業主体が出現しています。

投資先としても魅力のある「コンテナファーム投資」とは一体どのようなものでしょうか。

本記事では、最近話題のニッチなコンテナファーム投資について、以下のことを知ることができます。

  • コンテナファーム投資の概要、仕組み
  • コンテナファームが注目される背景
  • コンテナファーム投資のメリット・デメリット

コンテナファーム投資の概要と相場

コンテナファーム投資の概要と相場

まずは、コンテナファーム投資の具体的な中身について知る前に、投資によって得られる収益や必要な費用、考えうるリスクなどの概要を掴みましょう。

下記で説明する内容はあくまで一例であり、全ての事業形態や費用実額に当てはまるとは限りませんのであらかじめご了承ください。

コンテナファーム投資とは

コンテナファーム投資は、コンテナまたは菌床を投資家に購入してもらい、コンテナの中で菌床きのこなどを栽培し、販売した利益を投資家に還元するものです。

コンテナ投資と混同しそうですが、コンテナ投資は不動産投資になり、コンテナファーム投資は農業投資になります。

収益を得る仕組み

コンテナファーム投資は多くの場合、栽培された農産物の売上から費用をマイナスした値がそのまま利益になるので、仕組み自体はシンプルです。

農産物の供給量、コンテナファームで栽培できる品種、農業技術の進歩、データ分析による品質向上など、売上を左右する要素は多々あります。投資することのできる資本や時間軸を基準に、具体的なキャッシュフローを考えるといいかもしれません。

個人でコンテナ購入・運営まで行うこともあれば、コンテナファーム投資を提供する事業者に小口投資を行い、生産から収穫まで業者に任せて利益だけを回収する契約形態を結ぶこともあります。

ご自身が割くことのできる時間と農業に対する知識量などに鑑みて、現地訪問を含めた慎重な投資方法の判断を行いましょう。

初期費用および運営コスト(目安)

投資対象を考える時は、初期費用を考慮します。また、メンテナンス費用や人件費など、運営に必要な年次コストも念頭に入れておく必要があります。

土地を保有する個人がコンテナファーム投資を行う場合の、初期費用と年間の運営コストの目安は以下の通りです。

初期費用

  • 40ft連結リーファーコンテナ一基 約300万円
  • 栽培に必要な農業資材一式 約400万円 (一般的な新規農業参入者の経費と同額とする)
  • 設備投資(基礎工事、設備設置工事) 約250万円
  • その他農業を行うために必要な諸経費 約10万円

年間の運営コスト

  • 光熱費 約120万円 (10万/月とする)
  • 人件費 約200万円 (8万/月で2人雇うとする)
  • 物財費+販売費 約50万円
  • 環境管理ツール 約120万円 (利用料金10万/月とする)

上記費用に加え、栽培した農産物を必要な消費者に届ける運送費用や各種保険などもかかるとすれば、初年度は約1,450万円以上の予算が必要になります。

上記はあくまで一例なので、融通を効かせられれば各費用を抑えることもできるかもしれませんが、初期費用、運営コストとして小さい額ではなさそうです。

リスクとリターン

コンテナファーム投資にはいくつかリスクが存在します。

売上に多大な影響を与える可能性の高いリスクには、農産物が上手く育たない、販売できる規格を満たさない、害虫や疫病で農産物が駄目になるなどの生産リスクがあります。

その他、販売リスク(農産物の販路構築)、自然災害リスク(一般的な農地よりは低リスク)、規制リスク(農地法の違反)なども考えられます。

しかし上記の生産リスクを低減する施策を行うことで、投資リターンにも好影響を及ぼすことが期待されます。

例えば比較的生産が容易な品種の採用、収穫周期の早い農産物の栽培、徹底した環境管理などがその一例です。

ボラティリティが激しい投資と比較して、コンテナファーム投資ではコントロールできる要素が多くなるので、リスクの特定と対策は実行しやすいかもしれません。

コンテナファーム投資の検討事項

コンテナファーム投資の検討事項

コンテナファーム投資の概要を理解したところで、コンテナファーム投資を行う際に最低限抑えておきたい比較要素についても見ておきましょう。

一つ目は、コンテナで栽培する農産物の種類です。

コンテナは一般的な農地で農産物を栽培するより運営コストを抑えられ、生育環境をある程度コントロールできます。

しかしその分一回に生産できる供給量が限られるため、一年間により多く栽培できる農産物がよいと考えられます。

また、コンテナ内の状況によって栽培できる農産物の種類が制限されることもあります。そのため栽培したい農産物に目星をつけて、必要な環境をあらかじめ調査しておくとよいでしょう。

二つ目は、実際の栽培方法です。

室内農業として注目されている垂直農業という方法があります。

室内垂直農業とは、農産物に必要な光、大気、温度、水、栄養素などをコントロールし、場所や環境に左右されない農業を実現する方法です。

この方法は高度なデータ分析や自動化ロボットを用いることもあれば、全て人力で行うこともあります。

そのため自動化の割合と環境管理ツールの導入を、予算と相談しながら考える必要があるでしょう。

三つ目は、コンテナ内部の実際のオペレーションです。

これは投資方法にもよりますが、全て自分で行うこともあれば、外部に委託することもできます。

前者は自らコンテナを購入し農産物の栽培から販売まで行う場合であり、後者はコンテナファーム投資を投資先として小口投資を提供する業者に委託する場合です。

投資に割ける時間、農業の知識、事業を行う規模などを考慮して判断するとよいでしょう。

コンテナファームが注目される背景

コンテナファームが注目される背景

コンテナファーム投資はなぜ注目されているのでしょうか?

以下では、いくつかの社会的背景や冒頭にも触れた食の問題について紹介します。

食と農の距離

食と農の距離とは、農産物の生産地と消費地の間にある大きな距離のことです。

消費者が口にする食べ物がどこでどのように生産されているか不明瞭で、なおかつ農産物の新鮮さが奪われている状況を指しています。

都市の中心部ではこの問題は特に深刻で、さらなるサプライチェーンの見直しや室内農業などのデッドスペースを利用した農業技術の開発が注目されています。

コンテナファーム農業は、コンテナを利用した環境に左右されない生産であり、コンテナ自体を移動させることも可能です。

今後コンテナファーム農業がさらに発展し、従来と変わらない品質と希望の供給量を実現できる農法が実現するかもしれません。

そうすれば食と農の距離が縮まるだけでなく、持続可能な農産物の地産地消にも繋がることでしょう。

食糧リスク

世界的な食糧危機や日本の農業人口の減少などは、将来世代の食生活に大きな影響を及ぼすと考えられています。

「世界の食糧安全保障と栄養の現状」(原題:The State of Food Security and Nutrition in the World 2021)によると、日本で重度の食糧不安を抱える人々の数は2014年〜2016年の50万人から2018年〜2020年の80万人に増加しています。

※(参考)FAO, IFAD, UNICEF, WFP and WHO. 2021. The State of Food Security and Nutrition in the World 2021. Transforming food systems for food security, improved nutrition and affordable healthy diets for all. Rome, FAO.

また、日本の農業従事者数(自営農業に従事する世帯員数)の推移は、平成27年の340万人から令和2年の250万人に減少しています。

(出典)政府統計サイト e-Start >「2020年農林業センサス第2巻 農林業経営体調査報告書ー総括編ー」(農林水産省)

新型コロナウイルス感染症によってサプライチェーンの脆弱性が浮き彫りになったこともあり、食糧の供給体制の改善や若者の農業への参画が推進されています。

SDGsをはじめとする持続可能な社会の実現に向けて、農業分野の投資は今後も拡大していくと予想されます。

アグリテックの進歩

最後は、スタートアップを中心に加速しているアグリテックの進歩です。

「アグリテック(AgriTech)」とは、農業(Agriculture)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。

IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、ドローンなどの技術を活用し、農業における課題解決を図ります。

農産物の生産状況のデータを回収し消費者に提供するサービスや、農家の収入を向上させるためのサプライチェーンマネジメントなど、さまざまな取り組みが見られます。

特にAIやアルゴリズムといった最先端技術を利用したアグリテックの注目度が高く、農家の働き方改革や農業の効率性アップ、都市型農業の実現に繋がると期待されています。

中には最先端の技術を取り入れて運営している業者もいるので、導入されているアグリテックに注目して投資先を検討してもよいでしょう。

コンテナファーム投資のメリット・デメリット

コンテナファーム投資のメリット・デメリット

コンテナファーム投資の具体的なメリットとデメリットの一例として、以下のようなものがあります。

コンテナファーム投資のメリット

コンテナファーム投資のメリットは、栽培方法や収益モデルによってリターンを大きくできる可能性がある点です。

例えば、栽培方法ではアグリテックの利用やコンテナに最適な品種の選択。

収益モデルでは、コンテナごと加工工場に持ち込むことで梱包費の削減が可能となることなどが挙げられます。

その他、土地利用の制限がある太陽光発電もコンテナの上で実施することができるため、土地を保有し太陽光発電投資を行いたい投資家にとってもメリットがあるでしょう。

今後も農業への投資が拡大すれば、コンテナファーム投資のオプションが増え、より短期的にリターンを回収できる仕組みも確立されていくかもしれません。

コンテナファーム投資のデメリット

コンテナファーム投資のデメリットは、現段階では初期投資や運営費用が高額になりやすいという点です。

概要や費用の説明でご紹介した通り、必要な予算は1,000万円以上となるため、投資を行う前にはよく吟味する必要があります。

長期的な投資であること、さまざまなリスク、生産に必要なオペレーションなどを理解した上で投資の意思決定を行うとよいでしょう。

まとめ

いかがでしょうか?

近年話題のコンテナファーム投資の概要や仕組み、注目されている背景などを紹介しました。

投資方法としては比較的新しくニッチな市場と考えられますので、投資判断を行う前にできるだけ多くの情報を収集するとよいでしょう。

皆様の投資ライフに少しでも役立つ情報となりましたら幸いです。

三上諒子

三上諒子

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行い、学内の最優秀論文賞受賞。
現在はESG投資における情報開示の重要性に着目し、キャスレーコンサルティング株式会社で企業の社会的インパクト評価のフレームワーク開発に取り組む。
地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

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