近年、SDGsの推進によって環境問題への意識が高まっています。
太陽光発電投資は、太陽光という単語から「サスティナブルなエネルギーとしてなんとなく環境に良さそう!」と思われるかもしれません。果たして本当にそうでしょうか。
自然エネルギーを使用する太陽光発電は残存資源を減らすこともなく、CO2を排出しない面で環境にやさしく、サスティナブルであるのは事実です。しかし一方で、過去には太陽光発電が環境問題を引き起こしていたケースも。
この記事では、太陽光発電投資がどのように注目されているか、太陽光発電投資はサスティナブルなのか、メリットやデメリットと合わせて最新情報を取り上げながら解説します。
- 太陽光発電に関わる国の政策・方針について
- 太陽光発電投資と環境問題について
- 太陽光発電投資のメリット・デメリット
目次
太陽光発電の最新情報

再生可能エネルギーとして注目を浴びている
再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを排出しない方法で生み出されたエネルギーのことです。
再生可能エネルギーは、持続可能なエネルギー源の一つであり、サスティナブルなエネルギー資源の代表的なもの。
再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて地球環境に与える影響が少なく、地球温暖化や大気汚染などの問題に対する解決策として重要な役割を果たしています。
再生可能エネルギーに対する政府の取り組み
この言葉は令和2年10月、政府が表明した「2050年温室効果ガス排出量ゼロ」の中でも使用され、再度注目を浴びることとなりました。
次に、令和2年12月に発表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略※1」において、住宅やビルなどの建物へ太陽光発電の導入を促す取り組みを定めました。
また、令和3年6月に決定された「地域脱炭素ロードマップ※2」では、以下のような具体的な数値目標を発表しています。
”政府及び自治体の建築物及び土地では、2030年には設置可能な建築物等の約50%に太陽光発電設備が導入され、2040年には100%導入されていることを目指す。”
そして、当初50%だった目標導入率は、2ヶ月後の同年8月には60%に引き上げられました。※3
再生可能エネルギーは、持続可能な社会を実現に不可欠
再生可能エネルギーは、持続可能な社会を実現するためにも不可欠とされています。
化石燃料は有限であり、その使用によって地球環境が悪化することは避けられません。
一方、再生可能エネルギーは、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然から得られるエネルギーであり、無尽蔵に利用できます。
環境問題への政策が急がれている中、太陽光発電は脱炭素・再生可能なサスティナブルなエネルギーとして今後も注目されていくといわれています。
太陽光発電による環境破壊についての問題が浮上

もし「環境問題に貢献できる投資方法を探していたら、太陽光発電投資を見つけた」という方がいらっしゃったら、注意しなければならない点があります。
それは、太陽光発電設備の開発によって逆にトラブルを引き起こしているケースがあるということです。
例えば、濁水(だくすい)です。
斜面に設置した場合、適切な排水対策が講じられていない施設では、降雨の度に、斜面下の隣接 地や河川等へ濁水・土砂が流れ込む被害が発生することがあります。
引用:太陽光発電の環境配慮ガイドライン(環境省ホームページ)
このように、森林を伐採し山の斜面に設置された太陽光発電施設が、結果として大雨による災害の直接的な原因となってしまう事例も増えているのです。
環境省が発表した「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」では、さまざまなトラブル事例が挙げられています。また、開発に際して地域住民に説明をしたか、話し合いをしたかなどのチェック項目が設けられています。
太陽光発電投資の運営会社を選ぶ際には、企業がガイドラインに従って適切な開発・運用をしているかどうかを見極めることが重要です。
太陽光発電設備の農地転用ルールが見直された
上記で紹介した問題の解決を含め、新たな太陽光発電のあり方が提案されています。
代表的なものを2つご紹介します。荒廃農地の活用と、ソーラーシェアリングの活用です。
荒廃農地
荒廃農地※4とは「現に耕作されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地」のことを指し、令和元年11月の調査では全国に約28.4万ヘクタールあることがわかっています。
その後、荒廃農地をより活用しやすいよう、今まで高いハードルとなっていた申請手続きの条件を緩和するなどの見直しが行われました。
ソーラーシェアリング
ソーラーシェアリング※5とは、農業と太陽光発電を組み合わせることです。
畑の上にソーラーパネルを設置することで電力をそのまま農作業に使えたり、畑とパネルのそれぞれに必要な雑草除去の手間が一度にできるなど、さまざまなメリットがあります。
このように、太陽光発電は農業の課題を解決する手段としても注目されています。
太陽光発電投資においても「農業」というキーワードに着目してみてはいかがでしょうか。
※4参照:荒廃農地の現状と対策(農林水産省ホームページ)
※5参照:営農型太陽光発電について(農林水産省ホームページ)
※参照:総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第34回)(経済産業省ホームページ)
環境への配慮が投資家にも求められている
最近耳にすることも多いサステナブルという言葉は、投資においても使われていることをご存じでしょうか。
それが、サステナブル・ファイナンス※6です。
この言葉は令和3年に経済産業省・環境省が発表した「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」において使用されました。
サステナブル・ファイナンスとは、企業や投資家が、環境、社会、ガバナンス(ESG)に焦点を当てた事業やプロジェクトに投資すること。企業や投資家にとっては、ESGリスク低減や社会的責任の果たし方などにより、リスク管理や長期的な投資収益の確保が期待できます。
私たち個人投資家にも、以前にも増して投資先を選ぶ判断基準をしっかりと持つことが求められています。
この考え方は、太陽光発電投資においても重要な判断基準となるでしょう。
太陽光発電による環境破壊についての問題が浮上

もし「環境問題に貢献できる投資方法を探していたら、太陽光発電投資を見つけた」という方がいらっしゃったら、注意しなければならない点があります。
それは、太陽光発電設備の開発によって逆にトラブルを引き起こしているケースがあるということです。
例えば、濁水(だくすい)です。
斜面に設置した場合、適切な排水対策が講じられていない施設では、降雨の度に、斜面下の隣接 地や河川等へ濁水・土砂が流れ込む被害が発生することがあります。
引用:太陽光発電の環境配慮ガイドライン(環境省ホームページ)
このように、森林を伐採し山の斜面に設置された太陽光発電施設が、結果として大雨による災害の直接的な原因となってしまう事例も増えているのです。
環境省が発表した「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」では、さまざまなトラブル事例が挙げられています。また、開発に際して地域住民に説明をしたか、話し合いをしたかなどのチェック項目が設けられています。
太陽光発電投資の運営会社を選ぶ際には、企業がガイドラインに従って適切な開発・運用をしているかどうかを見極めることが重要です。
太陽光発電設備の農地転用ルールが見直された
上記で紹介した問題の解決を含め、新たな太陽光発電のあり方が提案されています。
代表的なものを2つご紹介します。荒廃農地の活用と、ソーラーシェアリングの活用です。
荒廃農地
荒廃農地※4とは「現に耕作されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地」のことを指し、令和元年11月の調査では全国に約28.4万ヘクタールあることがわかっています。
その後、荒廃農地をより活用しやすいよう、今まで高いハードルとなっていた申請手続きの条件を緩和するなどの見直しが行われました。
ソーラーシェアリング
ソーラーシェアリング※5とは、農業と太陽光発電を組み合わせることです。
畑の上にソーラーパネルを設置することで電力をそのまま農作業に使えたり、畑とパネルのそれぞれに必要な雑草除去の手間が一度にできるなど、さまざまなメリットがあります。
このように、太陽光発電は農業の課題を解決する手段としても注目されています。
太陽光発電投資においても「農業」というキーワードに着目してみてはいかがでしょうか。
※4参照:荒廃農地の現状と対策(農林水産省ホームページ)
※5参照:営農型太陽光発電について(農林水産省ホームページ)
※参照:総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第34回)(経済産業省ホームページ)
環境への配慮が投資家にも求められている
最近耳にすることも多いサステナブルという言葉は、投資においても使われていることをご存じでしょうか。
それが、サステナブル・ファイナンス※6です。
この言葉は令和3年に経済産業省・環境省が発表した「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」において使用されました。
サステナブル・ファイナンスとは、企業や投資家が、環境、社会、ガバナンス(ESG)に焦点を当てた事業やプロジェクトに投資すること。企業や投資家にとっては、ESGリスク低減や社会的責任の果たし方などにより、リスク管理や長期的な投資収益の確保が期待できます。
私たち個人投資家にも、以前にも増して投資先を選ぶ判断基準をしっかりと持つことが求められています。
この考え方は、太陽光発電投資においても重要な判断基準となるでしょう。
太陽光発電投資のメリット・デメリット

太陽光発電は国の政策によって進められていること、また投資するなら、運営企業はさまざまな視点から注意深く選ぶ必要があることをお伝えしました。
今度は、太陽光発電投資の経験がない方にとっての投資方法としてどうかを考えてみましょう。
太陽光発電投資のメリット・デメリットを3つずつご紹介します。
太陽光発電のメリット
金融が苦手でも取り組みやすい
太陽光発電投資の成績は発電量、すなわち日照時間や場所などの環境に左右されます。
そのため株式指標と連動するような金融商品と違い、景気に左右されません。
景気指標の読み取りや、数字そのものが苦手な人にとっては、比較的取り組みやすい投資方法といえます。
注意点として太陽光発電投資用に販売されている物件は、7~10%など比較的高い利率が提示されていることが多くあります。しかし、利益がそのまま手に入ると考えてしまうのは危険です。
メンテナンス費用や故障に備えるための保険料、ローンの返済計画など、最低限数字とは向き合う必要がありますので注意しましょう。
固定価格買取制度(FIT)がある
固定価格買取制度(FIT)という言葉は、太陽光発電投資において重要な単語です。
固定価格買取制度(FIT)とは「再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度※8」であり、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス発電で適用されています。
一般的な太陽光発電投資は、この制度を利用した投資と考えてよいでしょう。
たとえば、令和3年度の固定価格買取金額は10kW以上50kW未満の場合、12円です。今年中に始めると20年間、同電力量を12円で売り続けられます。
つまり、もし毎月一定量の電力を売ることさえできれば、固定買取価格がある20年間は安定した収益を見込めるのです。
ただし、FIT制度は2022年4月1日から再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に移行し、新たにFIP制度が創設されます。※9
買取電力の規模によっては、安定収益は保障されなくなる可能性もありますので、注意しましょう。
※8引用:固定価格買取制度(経済産業省ホームページ)
※9 再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート(資源エネルギー庁)
将来的に電力販売や自家消費に切り替えられる
固定価格買取制度が終了した20年後、購入した太陽光発電施設や発電した電気はどうしたらいいのでしょうか。
主に3つの方法があります。民間企業への販売・自家消費・処分です。
もし土地も物件も購入していた場合、20年後も発電装置が問題なく稼働すれば電力を発電し続けることができます。
そこで民間の電力買い取り企業へ販売すれば収入を得られますし、自家消費に切り替えれば、サスティナブルな生活を送れるでしょう。
一方、維持・管理が難しければ処分を検討します。賃貸であれば返却となります。
太陽光発電投資を始める前には、土地・施設を購入するのか、借りるのか。また自家消費への切り替えが可能かどうか確認しておきましょう。
太陽光発電のデメリット
売電価格は減少傾向にある
売電価格※8は平成25年度に10kW以上で36円+税だったのに対し、令和3年度は10kW以上50kW未満で12円、令和4年度は11円になるなど、価格は下がり続けています。
これは、太陽光発電の導入費用が下がったためです。
2022年度以降は前述のFIP制度が導入されることにより、売電価格はますます変動することが予想されます。今後の変動リスクをどう見るか、費用を回収できる見込みがあるかなど、物件の購入にあたっては慎重に計画しましょう。
設備のメンテナンス費用が必要である
太陽光発電は、太陽光を遮るものがあると発電効率が下がります。
主な設置場所は山や農地ですから、当然太陽光パネルの周りには草木が成長します。
もし草木がパネルの影になれば発電量が下がり、その分の利益を失ってしまいますので、放置するわけにはいきません。
これを防止するためには定期的な除草作業など、メンテナンスが必要となります。
自分で直接作業できない場合にはメンテナンスを代行業者に委託することもできますが、その費用をあらかじめ運用費に組み込む必要があります。
天候や自然災害は予測不能である
梅雨の長期化や連続して発生する台風などの異常気象によって、日照時間が減ることがあります。まして20年後まで予測することは難しいでしょう。
また、太陽光発電装置は通常、日当たりのいい山の斜面や農耕地などの平地に設置されます。
すると大雨による土砂災害や落雷、パネルの故障など、さまざまな自然災害リスクが予想されます。
故障を補償する保険に加入することも可能ですが、こちらも費用がかかることを考慮しなければなりません。
まとめ
一見わかりやすく簡単そうで、サスティナブルなイメージを持つ太陽光発電投資。
この記事では太陽光発電投資がどのように注目されているか、太陽光発電投資はサスティナブルなのか、メリットやデメリットと合わせて最新情報を取り上げながら解説 いたしました。
実は非常に奥が深く、太陽光発電投資は先を見通す力と計画性が重要であることがお分かりいただけたでしょうか。
現在も経済産業省や農林水産省、環境省を中心にガイドラインの整備が進められ、農業との共有など、環境に優しい発電方法へと変化しています。
太陽光発電投資を始める際は、ガイドラインに従った適切な運営企業を選び、ご自身が納得のできる投資を行いましょう。