今さら聞けない資産運用の基礎知識 ~目標を設定して計画的に運用しよう!~

今さら聞けない資産運用の基礎知識 ~目標を設定して計画的に運用しよう!~

資産運用を始めたいと思っている理由は何ですか?

「なんとなくやった方が良さそうだから?」

「周りがやっているから?」

「老後が不安だから?」

知らない場所で地図を持たずに“なんとなく”歩いていると道に迷ってしまいますよね。同じように、なんとなく運用を始めてしまうと、手段や金額に迷ってしまい、ストレスを感じてしまうかもしれません。

資産運用にも“地図”が必要です。

目的地=「目標」を決め、ルート=「運用方法」を決め、そしてスタートを切りましょう。

この記事ではこんなことが分かります。

  • 目標設定の必要性
  • 目標の設定の仕方
  • 目標利回りと運用方法

目標設定の必要性

目標設定の必要性

資産運用を始めたいけど踏み切れない。

いくら運用資金があればいいのか、運用先をどうしたらいいのかを決められない。

なんとなく不安な気持ち、それは“目標”が定まっていないからかもしれません。

資産運用は車の運転と似ています。

目的地が決まっていれば、どのくらいのガソリンで、どんなルートで、どのくらいのスピードで行けばいいか見通しが立てられますよね。

資産運用に言い換えれば、

  • 目的地=「目標」
  • ガソリン=「運用資金」
  • ルートとスピード=「運用先・期間」と「利回り」

となります。

資産運用の地図(目的地)が描ければ、おのずと取るべき手段が見えてきます。

この記事を読みながら、一緒に地図を描いていきましょう。

資産運用の目標を決めよう

資産運用の目標を決めよう

地図を描くために、まずはゴールである目標を決めましょう。

資産運用の目標は、大きく3つ「目的・目標金額・目標達成までの期間」です。

1. 目的

何のために資産運用でお金を増やしたいですか?

運用といっても株や国債、投資信託など運用スタイルはさまざまです。自分にあった運用スタイルを見つけるためにも目的を考えましょう。

また、目的があることによってモチベーションを維持する効果も期待できます。

2. 目標金額

いくらお金を増やしたいですか?

3つの中で一番大切な目標です。これを決めなければ、どんな手段をとればいいか決められません。

3. 目標達成までの期間

いつまでに目標金額が必要ですか?

長期間で運用するのか、短期間で運用するのかによって、求められる運用手段が変わってきます。

目標の設定例

目標は人それぞれです。いくつか例を挙げてみます。

Aさん、35歳。老後の資金として退職の65歳までに2000万円を用意したい。

目的       :老後の資金

目標金額:2000万円

期間       :30年間

Bさん、25歳。5年後に車を買うために300万円用意したい。

目的       :車の購入

目標金額:300万円

期間       :5年間

Cさん、30歳。10年後にマイホームを買う予定で、頭金として1000万円用意したい。

目的       :住宅ローンの頭金

目標金額:1000万円

期間       :10年間

このように、「目的・目標金額・期間」をみなさんも考えてみて下さい。

さて、目標を決めたら早速スタート!といきたいところですが、資金がなければ走り出せません。

この運用資金も大切なポイントです。

運用の第一歩 余裕資金を作ろう

運用のために、月々いくらまでお金を捻出できますか?

運用の第一歩は貯蓄=「余裕資金」を作ることです。

運用のために生活が苦しくなっては困りますよね?資産運用はマイナスになる可能性もあるため、生活に支障のない資金でおこなう必要があります。さらに緊急時のために現金も備えておきたいところ。

そのためにも、運用は余裕資金でおこなうことが大切です。

貯蓄がない人は、まず支出を見直すところから始めて下さい。貯蓄ができる体質が身についたら、その中から捻出できる金額を把握して運用を始めましょう。

利回りから考える運用

利回りから考える運用

目標と運用に回せる金額が決まったら、目標利回りを決めていきましょう。

この利回りを知ることで、自分に合った運用方法を見つけやすくなります。

利回りとは?

利回りとは、投資した金額に対して得られる収益の割合のことを指します。一般的には、1年間あたりに換算した“年利回り”のことを指している場合が多いです。

例えば、100万円を投資して10年間で30万円の収益が出たとします。

この場合の利回りは3%です。

(30万円÷100万円)÷10年間 ×100=3%

利回りが高くなるほど、収益も大きくなります。

運用リスクも考えよう

お金を増やすために、利回りは出来る限り高い方が良いのでしょうか?

運用に絶対はありません。減ってしまうというリスクも当然あります。

一般的に利回りが高いほど、リスクも大きくなります。この際のリスクとは、プラスになるときは大きく増え、マイナスになるときは大きく減る、つまり「増減の振れ幅」が大きい状態を指します。

自分はどのくらいのリスクを許容できるのか?リスク許容度を診断できるサイトなどを活用し、運用を始める前に、このリスク許容度も考えておきましょう。

なお、リスク許容度は大きく3方向に分けられます。

できる限りリスクを抑えたい「安定志向」、中間の「バランス志向」、リスクはあるがリターンも大きい「積極志向」です。

大手証券会社などのHPを参考に見てみると、リスク許容度と利回りの関係性は以下のようになる場合が多いです。

  • 安定志向             :~3%
  • バランス志向      :3~5%
  • 積極志向             :5%~

車の運転に例えるなら、「安定志向」は少し遠回りだけど大きな道。「バランス志向」は少し狭い裏道。「積極志向」は、距離は短いけど細くてすれ違いが難しい道、といったイメージでしょうか?

あなたはどの道なら運転=資産運用ができそうですか?

目標利回りと運用方法

目標・運用資金・リスク許容度が決まったら、それを基に目標利回りと運用方法を考えていきます。

目標設定の例で挙げたA・B・C、3つのパターンを基に、目標利回りとそれに適した運用方法について見ていきましょう。

目標利回りを計算できるシミュレーションサイト「モーニングスター金融電卓[1] 」を使用しています。

【Aさんの場合】:バランス志向

目的       :老後の資金

目標金額:2000万円

期間       :30年間

余裕資金:月々6万円

この場合の目標利回りは3.2%になります。

バランス志向のAさんですので、リスク許容度ともマッチしています。

目的が老後の資金ということで、長期で積み立てるiDeCoなどが運用先として考えられるでしょう。

【Bさんの場合】:積極志向

目的       :車の購入

目標金額:300万円

期間       :5年間

余裕資金:月々3万円

この場合の目標利回りは18.9%になります。

いくら積極志向のBさんとはいえ、この利回りは現実的ではありません。

期間を長くする、目標金額を下げる、運用資金を増やすなど、見直しが必要です。

もし目標金額を200万円に下げると、目標利回りは4.1%となります。

短期投資のため、株式や一般NISAのアクティブファンドなどが運用先として考えられるようになるでしょう。

【Cさんの場合】:安定志向

目的       :住宅ローンの頭金

目標金額:1000万円

期間       :10年間

余裕資金:8万円

この場合の目標利回りは0.9%です。

リスクを抑えたい安定志向のCさんですので、リスク許容度ともマッチしています。

期間も10年と中期のため、国債や、積み立てNISAなどの投資信託で安定型の商品が運用先として考えられるでしょう。

運用は日々変動します。そのためシミュレーションで導かれた利回りは目標であって、絶対ではありません。またBさんの例の様に、目標が非現実的な場合もあります。

「目標・資金・利回り」の3つを上手く調整しながら、無理のない範囲で、ゴールに向けた資産運用の地図を描いてみて下さい。

まとめ

資産運用における目標設定についてお伝えしてきました。

目標があることで、資産運用の地図を描き、計画的に運用を行うことができます。資産運用を始める際は、ぜひ皆さんも目標を決めて、資産運用の地図を作ってみて下さい。

もちろん運用に絶対はありません。途中で道を間違えてしまったり、行き止まりになってしまったりすることもあるでしょう。

そんなときは焦らずに、もう一度地図を開いてルートを変えてみて下さい。


山口りな

山口りな

約6年半テレビ山梨でアナウンサーを勤め退職。退職をきっかけにお金に関わる制度を身近に感じたことでお金や経済の勉強はじめ、FP資格を取得。
フリーアナウンサーとして活動しながらFPとしても活動中。FPアナウンサーとしてお金にまつわる知識を届けている。

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